Lulu's Marble

「逃走中」はお気に入り。深夜に時々やってた頃から見ていて、最初は早朝の渋谷が舞台で、よーーーく知っている見慣れた街だったので、そういう意味でも面白かった。それがどんどん回を重ねて、深夜番組からゴールデンの特番に格上げされて、思ったよりも長く続いている。誰が見てもハッキリと台本有りなエンターテインメントであるのがいい。でも、初心に帰って、シンプルな渋谷でのあれみたいなの、またやってほしい。
TVネタで続けると、先々週ぐらいだったか、「SAKU SAKU」を見ていると、ゲストがFLiPという、沖縄のガールズバンドだった。なんか、沖縄出身っての増えてきたなあって思うのだけど、なので沖縄出身っていうだけでは感情移入は出来ない。なのでただボーっと見ていたのだけど、「はいさーい」とか言ってて、ダメだこいつら。「はいさい」は沖縄の挨拶で、こっちでも有名な言葉だと思うけど、女性は「はいたい」という言葉に変わる。沖縄出身って事を売りにしたトークだったのに、この部分で崩壊。で、まあ、それはいい。それよりもひどかったのは、このバンドの曲。「カートニアゴ」という曲だったのだけど、古い、ありがちな歌謡ロックだなあって思っていたら、サビ、というか、キメのところで「カアとカアとニャアとカアとニャアゴ」って歌ってて(歌詞サイトで確認)、これ、モロに「かっこ かっこ かっこ かっこ かっこ かっこ かっこばかり先ばしり」だった。こんなにモロパクリしていいんか?って思って、バンドとはいえ、書いたのは職業作家か?って思って調べたら、作曲はこのバンドの子で、作詞はいしわたり淳治という人。このいしわたり淳治を検索すると、元Supercarだった。んー、これ、ここまでモロだとわざとやってる気がするけれど、それならそれなりにオリジナルのクレジットがあっていいはず。これをオリジナルとして出すのはいくらなんでもどうかと思う。しかもいしわたり淳治のブログには「女子バンドという概念が新しい次元に突入している面白いバンドだと思います」と書いてあって、なんかなあ、元Supercar
女子バンドの新しい次元ってというのがどういう事なのか、オレにはよくわからんので、マジでいしわたりに聞いてみたい。と、思う。個人的に、女子バンドで衝撃だったのは2つしかない。1つはSuper Junky Monkey。もう1つはLulu's Marble。この2つ、CDというメディアで出てきたのは同時期だったと思う。ミクスチャーが出揃った後で、それを消化した様なSJMははなっから完成形の雰囲気があった。けれど、それを女性のみのバンドという突飛でガンガンしてくるタフさがあった。Lulu's Marbleはガレージなバンド。楽曲も、オリジナルとロックンロールのカバーを並列で関係なく詰めていた。当時、ガレージなバンドが無視されない状況は出来上がりつつあった。The 5.6.7.8'sが出てきて、Guitar Wolfがメジャーへの階段を登りつつ、Mad3も居るという状況。どれも面白かったけれど、でも、なんか個人的にはどれもガツンとまではきてなかった。けどLulu's Marbleの1st『Lulu's Marble』に圧倒される。8曲入り19分未満。『Nuggets』の中のバンドがそのまま90年代に出てきたようなどうしようもなさ。多分この頃には既にイカ天によるインディー崩しは終わっていた。草木をなぎ倒したイカ天とは違うところでLulu's Marbleは凶暴。しかもオールドスクールなスタイル。しかも女の子4人組。Stoogesはサックスが面子に居るせいでフリージャズ的なものも内包してしまったけれど、Lulu's Marbleはオルガンが入っている事で、Stoogesから余計な部分を削ぎ落としたようなロックだった。「I Feel Alright」を聴けば、その事がわかるはず。
このバンドもメジャーに行った。どのタイミングだったかは覚えていないけれど、インディーで出したものを出し直しした時に、それぞれ、ボーナスが付けられて増量されていた。正直、ちょっと欲しいと思ったりした。けれど、このバンドが残した4枚のアルバムは元々どれも30分に満たなくて、それも含めてがLulu's Marbleのカッコよさだと思っていた。オレの手元にあるCDを並べても、2時間に満たずに全部が終わってしまう。
既に過去形な書き方しか出来ないのは、このバンドのヴォーカル&ギターで、オリジナルの大体を書いていたAKKOが逝去した事でこのバンドは早々に終わってしまっているから。このバンドが今でも続いていたとしたら、そうしたら色々変わっていたとは全く思わないけれど、ロックのふりして全くロックを思わせないバンドを新しい次元と形容してお金を欲しがるくだらないやり方を見る事は無かったかもしれない。