No Wave Rare Live & Photo Collection: New York 1976-1980

Sonic Youthが新作『The Eternal』をリリースして、せんがわでイクエ・モリの演奏を見る事が出来て、タイミング。



レコファンに『No Wave Rare Live & Photo Collection: New York 1976-1980』が置いてあって、「なんだこれ?」と手にとってみて、元に戻す。が、結局気になり数日後、レコファンに行ってみてまだ置いてあったら・・・と決めて行ってみたらまだあった。なので購入。



これはNo Waveの写真集。1年ほど前にアメリカで出版されたものらしい。写真のみならず、各種発言やインタビューが組み込まれていて、それは別冊の翻訳で内容を知る事が出来る。絵として面白い写真は少ないのだけど、あのよくわからないシーンを切り取ったものとして、そしてNY時代のReckやチコ・ヒゲがほんの少し登場しているのを確認出来るのも嬉しい。

そして悩んだけど結局欲しくなった最大の理由は付録のCD。DNAとJames Chance & the Contortionsの未発表ライブがカップリングされている。特にDNAは音源が少ないので、ちょっと見逃せなかった。



まだ『No New York』がCD化される前、正式にリリースされていたDNAの音源はCD化されてなく、その音を初めて聴けたのはAvantからリリースされた『DNA (Last Live at CBGB's) 』。アヴァンなバンドかと思っていたら、まあとにかく、これは酷いな、と。当然Ambitious LoversやLounge Lizards、Arto Lindsayのソロ作は知っていたのだけど、そこで幾らか差し込まれるLindsayのギターは鮮烈だったけれど、それが終始しているとなかなかどうにも。それがDNAに対する印象なのだけど、これをやりきる勢いがNo Waveというシーンだと思う。正直面白いと思ってDNAを聴いた事は無い。当然繰り返し聴く必要事も無かった。だけどLindsayの音に惹かれ続けている立場では、インパクト以外に何も無いDNAも網羅したくなる。そんな考えなので、久しぶりに聴くDNAだったけれど、この数年間の間にオレの耳にも多少の余裕が出来ていたようで、相変わらず「酷いな」と思うのだけど、ベースは結構上手い様な気がするし、モリさんのドラムはプリミティブな表現に思えたりする。そこにLindsayの歌の下手さも加味して、どうしようもない焦燥感は未でも誰も追いついていない。



DNAに比べればContortionsは音楽している。そもそも、それなりにサックスを吹き鳴らすことが出来るわけだから、勢いでギターを持ってしまったLindsayとChanceは違う。だけど単なるロックはやりたくなかった結果(ジャズはやりたくても出来なかったかも知れんけど)、ファンクを注入した異物なパンク。Pop Groupがロックから離れる為にファンクしてしまったという様な文献を時々目にするけれど、それは単にContortionsをお手本にしたんじゃないか?とすら思う。ミニマルに繰り返すフレーズがファンクを形作り、そこにスライドなギターとChanceのサックスが金切り声の様な嫌がらせ。高揚感を生む為に長く演奏すればいいものを、短い曲の方が多いパンクなスタンス。やりたい事がわかるようで全くわからない。



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No Wave Rare Live & Photo Collection: New York 1976-1980』