Jhelisa

新作『Primitive Guide to Being There』を聴く。オープニングは疾走感溢れるベースに先導された、カッコいい曲。一転2曲目はミドルテンポで、ストリングスも上手く配した音。作りこみすぎていない打ち込みの音と上手く絡むベースがここでも耳につく。さらに中盤から顔を覗かせるフルート、ベース音を排除した展開、ナイロン弦を使ったギターの音も効果的で、この曲に収められている多々の要素の絡みが面白い。続く3曲目はエレクトリックな音によるイントロで幕を開け、どんな展開になるかと思っていたらあっという間に終わる。次曲へのプレリュードだった。4曲目はまたもや太いベース音がペースを作る。スロー〜ミドル程度のテンポで、ベースの持つ支配力が如実に表れた演奏。Jhelisaの巧みなボーカルとの相性もよく、ノイジーなギター音やエレクトリック音による装飾も嵌っている。ちょっと変わったノイズの入ったギターで幕を開け、パーカッション的な音が絡む5曲目。若干のラテンフレイヴァーを漂わせるこの曲を気持ちよく聴いていると、中盤に若干アグレッシヴなギターソロがあり、転調してハウスっぽい展開に。結構長めの曲だけど、複雑ながらもわかりやすい構成が効いていて、ラストのJhelisaのコーラスは、アフリカを思わせる。6曲目はJhelisaとエレピの絡みから始まる。USブラック・コンテンポラリーといった趣。だけど、やっぱりベースの音が効いていて、軽さは無い。いかにもラテンな7曲目。曲のテンポの速さに対して若干遅めのスタイルの歌(言葉を詰め込んでいない)から、スキャット風なコーラスがカッコいい。「Walking on Air」というタイトルも秀逸。8曲目はミドルテンポ。この曲に感じるのはアフリカ的な雄大さ。この音は日本人には作れない音がある。終曲「Survivin' (In the Key of Eflat)」はスローテンポ。ベースの太い音をポツポツと置きながら曲は進む。リズミックではなく、種々の音をアクセントに使いながら、若干アブストラクトに展開する。



PVがオマケで付いている程度かと思っていたDVDは、Jhelisa自身の過去から現在までが語られたドキュメンタリーで、彼女自身の言葉や考え方といったもを知る事が出来る。好みによるだろうけれど、個人的にはPV集より、こういうものの方が楽しめる。




Jhelisaを聴いたのは『Language Electric』というアルバムから。と言っても、『Primitive Guide to Being There』がその次のアルバム。結構間が空いた気がして調べてみたら、およそ9年ぶりのアルバムだった。『Language Electric』はアブストラクトでノイジーなエレクトリックなトラックがメインだったという、曖昧な記憶がある。というのは、残念ながら今は手元にこのアルバムが無くて、聴き直すという事が出来ないせい。でも、優れたアルバムだった記憶があったので、新作も躊躇無く手にしたのだけど、ここまでの音になっている事は、想像を超えていた。