Rovo with Alejandro Franov + Fernando Kabusacki + Santiago Vazquez

Rovoとアルゼンチン音響派による、昨年7/7のライブを収めた『Live at Tokyo Cinema Clube 7/7 2006』。このライブがあった頃はまだアルゼンチン音響派に対する興味とRovoへの興味の再燃もなかったので、こういうライブがあることは知っていたけれど、特に興味は無かった(今思えば・・・という気持ちはある)。

少しずつ色んな音が重なり合うイントロから始まるDisk1の「1st Set」。この感じは芳垣安洋のライブで聴かれるパターン。ライブの始まりとしては、いきなりの掴みにはならないのだけど、何かが始まろうとする雰囲気をオレは気に入っている。そこから少しずつ音楽の骨格が浮かび上がり、それぞれが一定のテンポを決まりごとにして、自由に、だけど我のままではない音が連なる。山本精一のワウの効いたカッティングの上を、恐らくAlejandro Franovのものと思われるシタール勝井祐二のヴァイオリンが音を合わせると、ファンクな雰囲気もありながら、どこかの民俗音楽を聴いている気分にさせる。中盤にかかるところでそれまでの流れをリセットするように音が収束し、エレクトロニクスな音、重低音を響かせるベース、唸りを上げるギター、若干アブストラクトなキーボード等が混沌を演出し、その中からまた次の展開が生まれる。ベースが先導するその展開の中でリズム陣は上モノ的な音で疾走感を演出したかと思えば、キメのようなリズムを入れ込んでくる。このまま上げていくのかと思うと、ここでもその流れをそのまま持続させる事は無い。緩いテンポでの民俗音楽的な展開は三線ディジュリドゥなども用いていて、記憶の中の色んな音が交錯しながら少しずつ音が減り、演奏が終わる。

Disk2に収録の「2nd Set」は、パーカッションによる絡み合いで幕を開ける。芳垣、岡部洋一、Santiago Vazquezという3人のパーカッションが揃った状態では誰がどの音を出しているのかいないのかわからないけれど、絡み合いといっても挑発しあうのではなく、会話をしているようなもので、そこから他の演奏者が入ってこれるようなリズムに変化していくき、ヴァイオリンやベース、さらに笛のようなものやキーボードなどが出入りして、次々と色んな表情を見せる。どれかの音に反応していると、すぐに他の音に気持ちが持っていかれ、多様な楽器や音が入り乱れているけれど、不思議とゴチャゴチャした感じは無い。そして音楽は緩やかに変化を続け、次の展開を模索しているような雰囲気を作りながらそれを持続し、だけどやはり変化をしていて、中盤を超えた辺りから何かがはじまるように、揺らぎから確定に変わろうとする。ギターとキーボードが絡むとそれまでよりは若干ジャジーな雰囲気をみせる。さらにそこからは音色が増していく展開になり、明らかにRovo的な展開へと変わっていく。「1st Set」では行くと見せかけて行かなかったこの展開を今度は使う。あくまでもRovoという名前を使っている以上、この展開をゼロにする理由が無い。それでも、これまでに聴いたRovoの音よりも少し涼しげな感触がある。熱を上げたあとは、それを冷ますように静かに演奏を閉じる。

Disk2にもう1曲収められた「Encore」。ここでは原田仁がディジュリドゥに専念した為ベース(ギター)が無い状態になり、ラテンを思わせるパーカッションの上をガチャガチャと色んな音が登場し、表情の変化とシリアスさを伴っていた本編と違って、若干のアヴァンを含みながらも楽しげな演奏になっている。









Rovo with Alejandro Franov + Fernando Kabusacki + Santiago Vazquez 『Live at Tokyo Cinema Clube 7/7 2006』