Steve Coleman and Five Elements

Cassandraの時にモロにM-Base世代だったと書いたけど、実はM-Baseに関しては結構ギリギリ、気に入るいらないの境界線だった。それは、オレがまだジャズを聴きだした頃に聴いた音だったので、手始めに聴いたDolphyやColtraneとはあまりにも音が違う事が、その一因として大きい。過去の凄い音と同時に、どうしても現在進行形の音を聴きたかった結果がそれだった。音楽のベクトルの違いもそうだけど、それよりも違和感を感じたのはSteve Coleman達の音で、それをオレは、殆どフュージョンの音と違わないように感じた。あのツルっとした音とエレクトリック・ベースは、DolphyやTrane達の黒くてアグレッシヴな音に比べて個性が弱く感じた。それにあの変拍子ファンク、かなりギリギリだった。だけど何故かそういう負の方向に作用しそうな音にギリギリ反応出来て、結局現在までColemanの新作が出れば手を出すという状況が続いている。

だけど、80年代末から90年代初頭にかけて勢いのあったM-Base一派も、ColemanがJMTから離れる(或いはJMTが潰れた?)と同時に、徐々にその勢いを無くしていった(と感じる)。Greg OsbyやCassandraはソロとしての活動が軌道に乗り、ColemanはFive Elementsのメンバーを新陳代謝しながら、時にはバックをFive Elementsでは無いバンドに変えたりしながら、大きな話題に上る事はなくなったけれど、活動を続けている。そして所属レーベルがLabel Bleuというフランスのレーベルに変わってからは、それまでの変拍子ファンクに民族音楽的な音が加わるようになり、音の幅が広がりつつある(それが必ずしも良い事とは思わないけれど)。

そのSteve Coleman & Five Elementsも2年ぶりの新作『Weaving Symbolics』を出した。これは、それまで作り上げたM-Baseの集大成だと思う。ブラジルのパーカッションを交えた音や、或いはトリオでのガチガチの音のぶつかりあいに、ソロでの丁寧な演奏。だけど、前衛的な女性ボーカルを加えた音は今までには無かったもの。このボーカルはかなり微妙なところを突いている感じはあるのだけど、これもギリギリ大丈夫。




今回オレが購入したのは輸入盤で、なんとこれもデュアル・ディスク仕様。Disc1の映像はインタビューで、Disc2はColemanとドラムのデュオセッションが入っている。但しこれ、リージョンフリーなのだけど、PAL方式らしく、ウチのDVDプレイヤーでは再生できなかった(ちなみにPCでは再生可)。