Eric Dolphy

6/29は敬愛するEric Dolphyの命日。享年36歳(って・・・)。若くしてこの世を去る事になった天才の命日であるわけだから、この日は彼の音を聴く。どれを聴くか悩むけど、やはりここはオレがジャズを聴くキッカケになった『Last Date』。ここにも書いたし、人に話した事もあるけれど、またその話を書く。

高校生なガキの頃、とある理由でサッカーを辞め、遊部(アシバーと読んで下さい)になったオレは学校帰りに色々ウロチョロしていたけれど、それはそれですぐに飽きてしまい、なんとなく音楽にのめりこむ。聴く事とギターを手に入れて、そういう事を楽しみに日々を過ごしていた。もちろん只のロック小僧。だけど当時はMTVな時代でカッコいいロックが少なく、仕方ないので古いロックの名盤と呼ばれているものに手を出す。そうしているうちに、Lou ReedIggy Popという重要な音を知るのだけど、そこからさらに深みを聴く為、当時は手に入りにくいブルース系の音を探していた。その為よくレコード屋に通っていたのだけど、そのうちとあるレコード屋(今は無き国際ショッピングセンターにあった照屋レコード / 照屋楽器という楽器屋も併設)の店長(といってもレコ屋の従業員はその店長だけだけど)に気に入られ、単に暇つぶしでそこに行く事が増えた。そうしている内に、「ホントはMuddy WatersとかLittle Walterとか聴いてみたいけれど、沖縄では手に入らない」「それで仕方ないので、Vee Jay系のメンフィス・スリムとかジミー・ロジャースとか聴いている」というような話をした時、「その辺聴き出したのなら、ジャズも聴いてみれば?」と言われ、オレは内心「ジャズなんてまだ早いだろ・・・、あれは30過ぎてから少しずつ聴くかもしれないというぐらいのつもりなのに・・・」と思ったけど、聴けと言わんばかりにジャズのCDをかける。それが『Last Date』の「You Don't Know What Love Is」だった。今思えばロマンチックなタイトルのこの曲、もしあの当時この意味がすぐにわかれば自ら聴く事は無かったようなタイトル。だけどこの曲のイントロでDolphyのフルートの音を聴いた瞬間から、一気に価値観が変わる。ジャズは大人が聴くものという固定観念を自分が持っていたことに気付く。とにかくこの音に魅了された。11分を超えるこの曲というか演奏を聴いてしまって、今のオレの耳は始まった。



Dolphyは有名ではあるけれど、残念ながらその資料的な本が少ない。他のジャズの重要なミュージシャン、Miles DavisJohn Coltrane、Thelonius Monkなんかと比べると、もっと色々出てもいいような気がする。だけど殆ど唯一と言っていいぐらい、ジャズ批評の115号はDolphyの特集号で、今は書店では手に入れにくいと思うけれど、Dolphyファンならばとりあえず持っていないといけない。この本のディスコグラフィーな部分はもちろん、いろんな人たちのDolphy感みたいなものも読めるけれど、個人的には山下泰司という人の書いた「At the Five Spot Vol.0」というコラムが気に入っている。これは想像の短編小説だけど、『Live at the Five Spot』を生で経験してしまった男のその後の人生の話になっていて、さすがにそこまでの状態にはならないと思えるような事だけど、衝撃的な音を聴くということが、人生に大きな影響を及ぼす事があるかもしれないという事はわからないでもない。



『Last Date』は「You Don't Know What Love Is」をアホのように繰返し聴いてたけれど、1曲目の「Epistrophy」も凄い。イントロのバスクラはかなりインパクトが強く、これがど頭に入っているこのアルバムは、さらに最後の「Miss Ann」の後に、あの意味深なDolphyの言葉(画像を参照して下さい)を聴く事が出来る。

で、オレは今日、0:00になった瞬間、数年前に買いながらオレとしては思い切った値段だった為、なかなか口にする事が出来なかった「百年の孤独」の封を開け、結局3:00までチビチビ飲み続けた・・・。当然午前中は二日酔い・・・。



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