Jack DeJohnette / Bill Frisell

「こんなものがあったのか」と思いながら手に取ったのは、Jack DeJohnetteBill Frisellによる『The Elephant Sleeps but Still Remembers』。2人の辣腕ミュージシャンによるデュエットで、はなっから内容は保障されている。データ的には2001年のThe Earshot Jazz Festivalでのライブ録音という事らしいけど、そのフェスについて、全然知らない。Frisellはギターとバンジョーを用い、お得意のアメリカーナ路線や、なんとなくカシオトーンを思わせる変な音で、電子音がピコピコ言っているようなフレーズを弾いたりする。かと思えばロック的なアプローチの音もあり、結構色々楽しめる。それに対応するドラム&パーカッションのDeJohnette。近年はKeith Jarretのバックでスタンダード・ジャズの演奏をしているぐらいしか印象は無かったのだけど、異才のFrisellに臆することなく多彩なアプローチを聴かせる。DeJohnetteが変化球的にピアノを弾いたり、民俗音楽的なボーカルを聴かせる曲もあり、予想以上にバラエティ豊かな内容。恐らくあまり話題に上るようなアルバムではないと思うけれど、このアルバムにはFrisellのそれまでの音が総括されているような感じもあって、Frisellファンならば決して見過ごす事は出来ない。そしてオレの様に最近のDeJohnetteの印象がKiethのバッキングしかないような連中にとっても、DeJohnetteが刺激的な音を持ち続けている事を認識することが出来る。