2017/05のライブ観賞 14本

5/1
17絃&20絃箏の八木美知依とドラムの本田珠也の道場を聴きに5年ぶり位の横浜で初のドルフィー。道場破り無しは久しぶりだったけどドコアな「道場」はジャズを求めた人が帰ってしまうヤバさ。某氏曰く本田珠也は「替えがきかない」は同意見だけどそれは八木美知依にも当て嵌まる。
道場破り入りも勿論面白いんだけど2人になった時の方がそれぞれの音が自在になるので改めて「道場」の凄みを思い知った。

5/2
1stの朝生愛は歌とその為に必要な最低限のギターの音数。静寂との関係で出来上がる音楽なので今夜は客席と持ち時間に恵まれなかったかもしれないけどもうちょっと聴いてみたいと思わせたのは実は丁度かも。
Atsuoのセットは最終的に音が鳴らしきられるところまでのジクジクした感じも含めて自己完結という世界観だけどそれをオープンに響かせるスキルは灰野敬二に近い感触。
ギターがエレクトリックに鳴り響くというのは別にノイズと化すという事じゃないというのがStephen O'Malleyのセット。あれはノイズとは別のところにあるように思う音でエレキがフルで鳴るという一見シンプルで実際シンプルな事だと思う。
ボーナスのO'MalleyとAtsuoとTakeshiは型に嵌る事でここまでの緊張感から外れるという斜に構えた言い方をしておくけどここの熱量は圧倒的だった。

5/4
オレはイケてるビートが好きでそれの象徴が本田珠也で中村達也。この人らの削りながら出している音はそのまま体にくる。だから多少の交通費はチケ代に含まれる。今夕のあのボートラは反則だけどオレらはヘラヘラ。オレが色々削って作った金をここに支払うのは問題ない
ライブ終了後、中村達也のドラムの写真撮って一旦バー側に出てたらなんか達也が戻ってドラムを叩いててちょっと遊んでるんだなって思って戻ったらATSUSHIも加わってってまさかのボーナス演奏。普段ライブ中の写真撮らないんだけどこの時はちょっと手が動いてでも中村達也は撮らないという技
しかしドラムセットが絵になるってなんだろな。本人持ち込みかどうかわからんかったのでスタッフらしき人に訊いたら「多分そうでしょ。あ、オレ関係者じゃないよw」って言われたんだったw

5/6
「これぐらい政治的じゃない」と西村茂樹が言ったのは多分2回目。パンクとかロックなら言うべきは言って当然というのが西村の思うところだろうしオレもそう思うんだけど現実は違ってて今のパンクとかロックは音楽のジャンル。西村やオレが思うそれはカルチャーとしてのパンクでロックだと思う。
まさかのド頭に「Scars」で「気持ちの準備が出来てねえよw」と思いながらラウド・マシーンのセット。パンクかロックかまあどっちでもいい気がするこのバンドはメインの西村茂樹以外にヴォーカルが取れるカトケンとワカがいるので実は多彩。
過去の所属というヤツで若干よくわからない大島香だけど「秘密」の時のドラムはロック界隈では聴けない凄み。やっぱこのバンドまとめてロックの象徴みたいな音。カトケンが歌う「永田町爆破計画」とかタイトルだけでニヤける。
まあオレもオッサンなんでロックのジャンルだけを楽しむ事も出来るんだけどラウド・マシーンがある間はそうなるのはちょっとダサい気がしている。

5/8
グルーヴする長いイントロから突然歌に変わる演奏があって、歌の後にそれってのはあるけど逆にする事でその印象が濃くなる。初来日のRyley Walkerだけど昨年の『Golden...』のDeep Cutsを考えれば今回はカットされたものがあるけどこれは不満じゃなく次も期待という事。
バックアップする面子があの顔ぶれなのでインプロ的な展開が前面にくるという予想は少し裏切られてて何かに当て嵌めてみればジャムバンド的。グルーヴは高揚するタイプのヤツで実はVUとかDoorsが浮かぶ。こうやって付け加えてみるとRyley Walkerのあれはやっぱり特筆される音楽。

5/10
1stの八木美知依DDTは箏の八木美知依と田中徳崇&ジョー・タリアのツインドラム。編成的に道場との違いが気になるのだけど当たり前にビートの数はこっちの方が多いぐらいを確認した後はあまり余計な事は考えず、終わった後はかなりシリアスな音という印象になった。
2ndはアルトのSoon Kim&太鼓の壱太郎&アコベのカイドーユタカのOld Schoolというユニットで、終始ハーモロディクスという演奏。オーネットが死んだ時に聴いてもないくせにわかったような事を言うヤツがいて嫌な気分だったけどそいつは何をやってるんだろう?
ドラムセットとは違う壱太郎の太鼓にある間とSoon Kimが吹くあのサックスのライン聴いてると『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』にまみれている気分になるし、カイドーユタカのアコベのアプローチは聴いた事の無い音を連発。ジャズが好きならこのユニットを見過ごすのは下らない。

5/12
当日に気が変わるというダメなパターン...
前日から今夜はLGBのつもりで一人で盛り上がってたけど「あ?、あれ今夜だったか...」となって悩んでロフトからピットインに変更。今回のカブサッキのツアーは色んな組合せがあるけどオレはこの組み合わせに引かれていた。
フェルナンド・カブサッキ勝井祐二&山本達久&須藤俊明+石橋英子。全員が幾らでも変化を作れる面子なのでそういう演奏。ポイントはいくつもあってこれ見よがしもあるけどそういうおいしい所も過ぎてしまえばそこが特別だったとも思えない。あの音楽聴いてツイで整合性とるのはオレには無理です。
カブサッキは抜き出しておく。カブサッキの即興はギタリストのエゴが見つけにくいスタイルで一見マイルドでストロングポイントがわかりにくい。けど、音はホントに多様。あれだけ色んな演奏を連ねて組み立てるというセンスが他のギタリストとは決定的に違うと思う。

5/17
Mette Rasmussen & Chris Corsano + 八木美知依のセッションに足向け。 まずはとにかくメテ・ラスムセン。サックスであれだけ色んな事をやる人をオレは初めて見た。し、アルトサックスの音色が独特。当然その演奏には引かれるもの多々で、ちょっとした衝撃。
クリス・コルサーノは相変わらず抜群のスピード。コルサーノのあのビートは「置いていく」様に見える。八木美知依は落ち着いた音と気にかかる音のバランスがかなりコントロールされていた。

5/19
ユリエ・ケア3のリズム隊がジョン・エドワーズとスティーヴ・ノーブルだと気づいたのは昨日。すでに今夜の予定は決めていたので悩んだけどこの1セットだけでも見ようと決めてスーデラに足向け。
作曲の部分と即興の継ぎ目がわかりにくい演奏。オレのイメージのエドワーズとノーブルはハードな欧州インプロだと思ってたけどジャズな部分の聴かせどころがあってそれと当然の特殊な音が一つの演奏に収まる事に違和感がなかった。メインのユリエ・ケアはサックスは勿論だけどフルートが特別だと思う。

5/19
スーデラを1セットで後にしてGalaxyというハコに移動。ついてすぐdipだったのだけど音がかなりあれでガレージバンドと化したdipを聴くってのに『Cracked』とか思い出しつつヘラヘラしようと思ってたら30分ぐらい?で終わって正直ちょっと足りないのだけどまあ仕方がない。
ドイツのバンドという事しかわからなかったcamera。序盤のビートはCanで徐々にVUの「What's Going On」みたいなって気が付くとKraftwerkの様なグルーヴしてて最終的にはハードコア気味のテクノの様なアッパー。このバンドはユニットで3時間ぐらい聴きたかった。

5/20
2セットともメテ・ラスムセン&クリス・コルサーノfeat.ジム・オルーク坂田明になった事の不満はラムスセン&コルサーノで音数の少ない状態でこの2人の音を聴きたかったという事。けれど、2セットとも当然の優れた演奏だったので文句にはならない。
流石にイチイチ感想を残すのも正直面倒なんだけどメテ・ラスムセン&はピックアップする。今夜は水曜のセッションとは違って色々というスペースがなくて素のアルトだけで面倒な連中に対峙という事になったけど、あの連中と同等に音を突き上げてくるスキルに「ちょっとした衝撃」は継続した。

5/22
妙善寺でメテ・ラスムセンのサックス独奏。ドルフィーバスクラで吹く「God Bless the Child」をアルトで吹いてるようなジャズセンスの演奏とアヴァンのあの手この手を駆使した特殊な奏法の演奏。あれこれ言っても仕方ないので簡単に言うとサックスを吹くセンスが卓越している。
先週の水曜にメテ・ラスムセンを聴いて「この人はヤバい」って思った感覚が今夜の演奏を聴きながらぶり返してきてこれは以前どこかで感じたヤツでなんだっけ?って考えながら帰ってきてアルコール口に入れてやっとジョン・ブッチャーと広瀬淳二を聴いた時と同じ感覚だったと思い出した。

5/28
昨夜の酒井泰三&本田珠也@阿佐ヶ谷バーブロックはカッコイイしか無かった。ギターが好きで弾き倒した末の音とドラムが好きで色々叩き倒してる音があの狭い空間で絡みあうのヤバすぎ。両者のバックグラウンドがありつつ多様な音楽しててこんなの毎週聴きたいと思うのは普通の事。
ライブ後は酒井さんから色々話聞けたし土曜の夜だし今見たライブ凄すぎだったしってなって結局余裕で終電の無い時間までバーブロックのスタッフ&客とゼップのDVD見ながらあれこれ喋りまくりw やっぱロック好きとの交流は楽しいw

5/31
ZEK3というかMoby Dickというか本田珠也というか、あの20分越えのドラムソロに驚愕してた人が大勢いたけど八木さんとの道場や酒井さんとのデュオでもヤバイビートが聴けますのでそういう機会を見逃すと勿体無いと思う。
昨夜のあのドラムソロはあれ殆どタムとスネアとバスで構築されてて金物はホントにオカズでしかなくて摩り擦り一切なし。あんなのは他で聴いた事無くてまあやっぱり確かにヤバかった。