帰路、タワレコース、と、その帰路

この時期は、流石に少し時間のコントロールが難しく、仕事終わってそのままピットインに向かったほうがいいって時間になったのだけど、それでもどうしてもさっさとThe Stalinの『I was THE STALIN 〜絶賛解散中〜 完全版』とVideo-Stalinの『MINUS ONE』の再発が欲しくてタワレコに寄った。どちらにも特典が付くってのは知ってて、『I was THE STALIN 〜絶賛解散中〜 完全版』にはCD-Rだったのだけど、『MINUS ONE』にはアナログってのも知ってたけど、なんとなく7インチかと思っていたら、これが『MINUS ONE』そのまま収録されたアナログ。勿論12インチ。オマケがLPって、、、これじゃあ何を買ったのかよくわからんなあ、とか、思いつつ、ピットインまで辿り着く。20:00を少しだけ過ぎている。が、灰皿が外に出ているので、「今夜は場内禁煙か。珍しいな」と思い、まずは1本吸ってから入る事にして、一服。して、中に入る。20:06ぐらいだったか。したら演奏が始まっていた・・・。いつも当たり前に10分は遅らせる人達なのに、今日に限ってやってくれるなあ、と、思いつつ、まあ、そうは言っても時間通りに演奏を始めているのは望ましい事だよなあ、と、思いつつ、で、昨夜が今年21本目のライブ観賞。
坂田明八木美知依と本田珠也という組合せは、なんとなく見ている気もするけれど、実際どうだかはよく覚えていない。この3人がそれぞれ色んな組合せで共演しているのは結構見ているので、記憶はごっちゃになる。坂田さんのサックスと本田のドラムがガーっとする中で、八木さんの17絃箏がベース音を兼ねる事ができるとはいえ、アコベのあの太さが無いというバランスはフリージャズな演奏であっても独特な音像になる。特に八木さんが20絃の時は、それがより濃いのだけど、この感じだとそれぞれの音がハッキリ聴き取れる。
本田のドラムを初めて聴いたのは八木さんとのTalonだった。その時の印象と今の本田の音の印象は全然違う。強さはその頃からあったけど、明らかにスピードが増している。余技的なところも、いつの間にか余裕でもぐりこませていて、Elvin Jones的なジャズのドラマーと思っていたのが、違う事になってる。アンコールの最初、本田のドラム独奏だったのだけど、そこの組み立てとか、ちょっと、ジャズの人達のそれとは違う。まあオレの一番お気に入りのドラムは芳垣だけど、正直、今一番刺激的なドラムは本田だと思う。
実は八木さんの演奏を聴きに行く時、もしかしていい加減にそろそろ飽きてしまうんじゃないか?って、考えたりする。誰とは言わないけれど、何度も聴いてしまっているのでちょっと足が向かなくなったライブもある。が、やっぱり八木さんの音に結局、して、やられる。今回はエフェクトは殆ど無かったと思うのだけど、あー、2ndの最後の曲は少し使ってたかな?と思うけど、歪み系ではなかったはず。エフェクトでアグレッシヴってのは、ある種の容易さがあるので、個人的には楽器のコントロール力が高い人には、あまりエフェクトを使って欲しくない。電化されたそれの気持ちよさは勿論あるけど、そうじゃないところで惹きつけてくれる音が特別に感じる。だからドラムってのは魅力的なんだよな。で、やっぱり八木さんの音のアグレッシヴがカッコよかった。昨夜1番ささくれた音だったのが八木さんの音だった。八木美知依という奏者を引っ張り出す時、どうしても箏という楽器に対する固定観念から色々勝手な想像をしてしまうと思うけど、八木さんがインプロする時の箏という楽器は、単なる弦楽器だと思ったほうがいいかも知らん。八木さんが扱う箏には、色んな弦楽器の音を思わせつつ、箏にしかない音があるので、そういう意味でモノ凄く芳醇。
アルトで喚きちらし、クラリネットでジャジーを醸し出して、ヴォーカルで得体が知れなくなる。昨年の『平家物語』は一部で話題になり、今でもそれは続いているけれど、昨夜の歌は山川冬樹を思い出すようなホーメイって感じだったりもした。坂田さんはあっちこっちと、ずっと落ち着かずに音楽してくれる。凄いのと楽しいのを持ち込んでくるのが坂田さんらしい、のだと思う。これとか、多分ライブで初めて聴いた。

2ndの最後の曲が、凄く美しい演奏だったのだけど、絶対知ってる曲だと思うのだけど、あれなんだったっけなあ? Aylerが演ってたか、或いは演っていそうな類の曲なんだけどなあ・・・。とりあえずAyler聴こうかな?って思ったけど、やっぱ、せっかく買ってきたStalinを聴く。