きれいなメロディー、へんてこりんなメロディー

今夜はリキッドルームに行くつもりだった。目当てはゲストで出演予定の大江慎也。メインのバンドは聴いた事も無いけれど、とにかく1度大江の姿を見ておきたい。だけど、そんな理由で結構長尺になりそうなライブに行く踏ん切りがなかなかつかず、なんとなくメインの人達にも失礼だし、そうこうする内に今夜になり、チケットも買ってないし、当日があるのかどうかもわからないし、結局やめた。

だけど何か見に行きたい気持ち、色々スケジュールを見ていて、最近ご無沙汰だったクラシックス鬼怒無月と黒田京子のデュオを見つける。元々見る予定だったものとは全く違うライブだけど、まあいい。



黒田さんと言えば、フリー寄りのピアノ弾きというイメージがあるので、各々の楽曲を使ってそういう演奏になると思っていたのだけど、実際には黒田さん、鬼怒のどちらの楽曲でもなく、あまりジャジーではないジャズな楽曲が多く演奏された。ライブのタイトルにある「きれいなメロディー」な楽曲が多く、それのテーマやメロディーを忠実に、そこからアドリブが紡がれる。演奏としては、ほぼそれだけ。丹念に演奏されるそれらは、意外性の部分は少なくても、アグレッシヴな面も殆ど見当たらなくて、演奏者の楽曲に接する態度で成り立っていたと思う。

唯一意外だったのはMonkの楽曲が演奏された時、そのテーマをあえて鬼怒の、それもエレキで弾かせていた事。だけどそれによってMonkのもつ「へんてこりんなメロディー」は、より、強調されていたと思う。



演奏面で目立つのは鬼怒のギター。アコギとエレキを持ち替える。元々鬼怒のアコギの演奏が好きで、それでツマラナイ思いをした事が無い。もう、そのスキルについては今更で、あの仏頂面(ベテランの男のミュージシャンは大体仏頂面で演奏している)から生まれてくる音色のキレイさはいつも変わらず。エレキもピアノとのデュオという組合せが意外に相性が良いし、フィードバック音も印象に残る。

黒田さんは時折多少アグレッシヴな音はあったけれど、それも品良く抑えていて、それはあえてなのだと思うけれど、もう少し我を押しても良かったような気もするけれど、でもそれが余裕のある演奏になって効果的だったのかも。