鬼怒無月 / 今堀恒雄

今までそれなりに見てきたライブの中で、とにかく巧いと思ったのは鬼怒無月今堀恒雄の2人。この2人のどちらかがギターを弾くライブは、必ず、全く何の問題も無く満足を得る事ができる。



ラシックスでギターのデュオと知って、勝手にアコギのデュオだと決め付け。オレは鬼怒のアコギが好き。今までに今堀のアコギを聴く機会はほんのわずかだったので、それも鬼怒のアコギを聴くという事と同じぐらいの楽しみ。



1stはそのアコギでのデュオ。3曲ほどだったか。2ndはエレキで2曲ほどやった後、鬼怒がアコギを弾きたくなったらしくまたしてもアコギに戻る。そしてアンコールで再びエレキ。

奇を衒う必要の無い、ギターを弾くという行為が芳醇な奏者2人の演奏。やはり凄い。ノイジーなものを全く必要とせず、正統に洗練されてきた音が聴こえてくるので、もしかすると人によっては退屈かもしれないけれど。



MM3月号の坂本龍一のインタビューに書かれていた興味深いところを勝手に。

インタビュアーが19世紀半ばにつくられたアメリカのギターを手に入れたけれど、これでどんな音楽が奏でられていたのかという事を事実として知らないと話し(当時の音楽を知らないという事)、この楽器で、とんでもない音楽が演奏されていたんじゃないかと考えたらしい。それを受けた坂本教授は、「Derek Baileyみたいな」と加えている。

今、音楽を演奏する楽器として、ギターとかピアノとかドラム・セットとか管楽器とか、色々すぐに頭に浮かぶけれど、それらが生まれてからここまで、常に洗練されながら残ってきたのだと思う。だからそれらの楽器が持つ音色は、全くありふれていない。



客席がちょっとビックリ。数えたわけじゃないのでハッキリはわからないけれど、女性が過半数だったかも。今まで見たライブでこんな事なかったな。