Dip

昔よくCDを聴いていたバンド。昨年久々にそのバンドの新作を手に取り好感触。好きなバンドだったけれどライブは見た事はなかった。そしてそのバンドのライブが代官山Unitである。しかも単独。これだけの条件が揃えば、足を向けるには十分な材料が揃った事になる。

という事でDipのライブ。それなりに混みあっている。客層はロックな風情ではなく、割と普通な感じ。まあ、如何にもロックな客層とは思っていなかったけれど、とてもロックを聴きそうにもない子とか結構いて、ちょっと驚く。

肝心の演奏。「この人がヤマジか・・・」等とちょっと感慨深い気持ちがあったりした。だけど、あまりのめり込めるライブじゃなかった。ライブ終盤までミドルテンポの演奏が並ぶ。しかも曲間に必ずチューニングをするので間延びする。音は結構でかかったけれど、終始でかいから途中で慣れる。せっかくロックのライブに来たのだから、ロックのカタルシス、ダイナミズムを味わいたかったけれど、なんかそういうモノは感じられず、とにかくでかい音で演奏するという事が目的になっているような気がした。もちろん、そういう音の取り扱いはうまくて、あれだけの音だったけれどよれる部分は無かったのがそれを証明している。だけど曲の終わり方が何の工夫も無い尻切れで、「え?」と思うような事が多々あった。2回のアンコールも含めて、2時間を越えるような演奏時間だったのもイマイチ。(曲は変わっても)やってる事は変わらないので、アンコールを含めて1時間半〜2時間未満ぐらいが間延びしなくていい。

突き放しっぱなしだけど、ライブの終盤、「Melmo」〜「Lust for Life」の流れはよかった。この3曲はアップテンポな曲。それが並ぶとやっとロックのライブである事を意識させる。そしてアンコールの曲もアップテンポで、ガレージ・バンド的な猥雑さもあってカッコよかった。




多分、もうDipのライブに行く事は無い。演奏としては悪くなかったけれど、特に印象に残る事が無い。ここに書いたから覚えていられる部分はあるけれど、それでもここに書いた事を見なければ、思い出すような事は多分無い。今年初の歌ものなライブであった事への期待、好きだったバンドを初めて見る事への期待、そして、最近ライブを見ることが多い事等、そういう事が今夜のライブの接し方に影響を与えている事は否定しないけれど、イチイチ取り繕っている余裕は無い。