Joy Heights

約一年ぐらい前の大友良英中村達也のセッションの発展形と思われるJoy Heights。そのときに参加していたベースのtatsuと、百々和宏というギターが加わった面子。セッション形式かと思ったけれど、曲という形態で繰り広げられた昨夜は、とてもピットインとは思えないぐらいの集客と観客。ライブ前に既にチケット完売で、それならばオレが行かなくてもよかったけれど、あまりにも中村達也のファンだらけという状況もよくないだろうと、勝手な思い込みで見に行ったライブだった。

元々達也が大友を通じてアヴァンな音の真髄に触れたいという想いから始まったと思うのだけど、それを曲というスタイルをとってしまったために、大友を活かしきったものとは言えないものだった。アヴァンな音を発するのは大友だけで、だけどそれを曲という枠が殺してしまった場面も多く、結局はロック・バンドのライブというところに収まった。達也は手数の多い、パワフルなドラミングで、熱を作り出す。それはなかなかいいのだけど、もう少し引きみたいなものがあると、もっと違う面が出てくると思う。音に隙間を作る事、引き算のようなものが欲しい、、、と思ったけれど、あの熱はあれはあれで十分な個性で、オレなんかが注文を付けるようなものではないかもしれない。ベースのtatsuはなかなか面白かった。特にフレーズ弾いてそのままキーボードの鍵盤を鳴らすところが良かったし、ギターが2本ある中でもちゃんと音を先導。ベースの為のソロ・スペースみたいなものはあまり無かったけれど、しっかり音は届いていた。百々というギターは時々歌も歌っていて、達也の次に彼のファンが多いようだったけれど、個人的には歌もギターも特に引かれるものは無く、あまり印象に残っていない。大友は最初に書いたように唯一アヴァンな音を発していたけれど、良くも悪くもまとまった演奏。まあ、ああいう客層の前で演奏するという事を楽しんでいる感じはあったし、こういう多様な事をする事がこの人のよさでもあるので別に文句は無い。そういえば珍しくずっと立ったままで演奏していた。そんな姿は2年前のReckと達也とのFrictionなセッションの時に見て以来。やっぱ、ロックを演奏する時は立ったままで演奏というのが基本らしい。ロックな「Lonely Woman」やってて笑ったけど。

またこのユニットのライブがあった時に見に行くかどうかは微妙だけど、チケットが完売するような勢いならば達也系のファン達に譲った方がいいのかも。昨夜も明らかに大友を知らないで来ている感じの客の中に、大友のギターを聴いて目(耳)を奪われているような連中もいたし、そうやって少しでも新しいファンが増える可能性をチケット一枚でも増やした方がいいのかもしれない。