是巨人

吉田達也がリーダーとして活動している是巨人は、This Heat + Gentle Giantというコンセプトらしい。らしいというのは、オレがGentle Giantを聴いた事が無いという事と、あまりThis Heat的なものを感じないから。ギターに鬼怒無月とベースにナルノミツルという鉄壁の布陣。吉田は多種多様なプロジェクトを立ち上げては潰していくけれど、是巨人も実際には1度活動停止した後、現在の面子で再始動した。通算としては4枚目のアルバム『Jackson』が最近出た。実は是に手を出すのは二の足を踏んでいた。それは、是巨人のアルバムを1枚持っているにも関わらず、あまり聴いていないからで、演奏者としては3者ともに優れた人達だけど、例えば吉田のバンドで、かなり気に入っているバンドが無かったりする。Ruinsも高円寺百景も聴き込んだというところには至らず、是巨人もそういう状態だから、吉田主導のバンドというものを、あまり大きな期待をもって聴く事が出来ない。「それならば聴かなければいいじゃねーか」と言われそうだけど、「もしかしたら今作は」という気持ちがどこかにあって、それで手を出してしまう。

で、まあ結論から言えば、『Jackson』は予想通りの音。変態的なテーマを楽々とこなす鬼怒。その鬼怒に遅れることなくついていくナスノ。そしてリズム・キープというより、フレーズを叩ききっているような相変わらずの吉田。ちょっと息苦しいぐらいのキメキメだったりする。まあ、それはいいのだけど、多分オレがあまりハマれない理由は、音の感触がツルっとしているから事が大きいと思う。根っこはプログレなのだろうけれど、さらにそこにフュージョンがのっている感じ。それと、鬼怒のギターの音というのが、基本的にはオレの好みではない。そしてナスノのベースの音も、奥に引っ込みすぎだと思う。

という事で、演奏自体は面白いのだけど、もう少しミックスがオレの好みな音だったらハマる可能性高いのだけど、是ばかりは仕方ない。









是巨人 『Jackson』




と、とりあえず一聴したインプレを書いて、その後なんとなく繰返し聴いていた。そうすると耳が慣れるというか、この音もこれはこれでありなんだなと思う。まあ、好みではない。でもなんて言うか、自分の好みじゃなくても面白いと思ったし、こういう音にすることも個性なんだろうし。そのうちライブを見てみたい気持ちも出てきた。

そういえばこの間の鬼怒のライブの時にこのCDの事を言っていて、「吉田さんがブラックミュージックに・・・」と、冗談みたいな事を言っていたけれど、タイトル曲の「Jackson」は、ホントにちょっとR&Bを思わせないでもない部分もあって、あれは冗談ではなかったのかなあ、と思った。