Loren Connors

なかなか今年発売の新譜にオレの興味を惹く新譜が無かったのだけど、やっと「聴きたい」と思うようなものが出ていた。

元々Mazzacaneのミドルネームを持つこのギタリストを、オレは灰野敬二とのコラボレーションでその名前を知り、それ以降度々耳にしてきた。ブルーズに根ざした音を音響的に響かせるとでも言えばいいのか、とにかく、個性的な音を持っている。某Blogで「ギターが弾けない状態になっている」というようなログを見た事があって、心配な時期もあった。

新作の『Sails』は、最近の音響的な作風よりもギターの輪郭が明確な音になっていると思う。とは言っても、ガチャガチャ弾きまくるはずもなく、時間の流れに逆らうような、漂う様な音。iPodにこの音を入れて街を歩くと、そのスピード感の違いに、早回しの風景を見ているような気持ちになる。

増幅される事によって音の主張を増してきたエレクトリックギターがこんなに優しい音を奏でられる事を、この『Salis』で初めて知った。