八木美知依 / Peter Brotzmann / Paal Nilssen-Love

CDを買いにいくと、1枚だけしか買わないという事は殆ど無い。複数枚手にする。これはクセ。だけどガキの頃は、CD1枚買うのもそれなりに大変だった。高校生ぐらいのころは、1週間ぐらい昼飯抜いてCD1枚手に入れたりすることも多々あった。あの頃は結構細かったな・・・。

じゃなくて。ちょっと苦労して手にしたものは面白いとかどうとか判断するんじゃなくて、とにかく繰り返し何度も耳にした。ロックからジャズに意識が移ってよかったのは、ロックに比べてジャズは記憶しにくい事。1枚のCDを飽きるのに時間がかかる。だから聴きはじめの頃に手にしたものはかなり繰り返していて、特にDolphyとColtraneはかなり。



遊興費にちょっと余裕が出てくると、CDの買い方が荒くなった。それで聴き方が変わった。特にフリージャズやインプロ的なモノは、一聴のインパクトが全てになった。2回目以降は確認で聴いていて、良いと思ったものでも3回ぐらいしか聴かなくなった。こういう贅沢な聴き方は止めたいのだけど、これに慣れてしまっている。それと、この手の音楽はライブで確認する事が多いので、どうしてもそっちの印象に比べると録音物は弱くなる。



昨年のBrötzFestで手にした『Volda』。八木さん、Brotzmann、PNLによるライブの録音盤。以前に『Head On』があったし、この組合せをライブで見た事もあるので『Volda』への期待はそんなに大きくなかった。見込み違い。このCDはライブの印象を薄くした。



八木さんの二十弦箏のアグレッシヴはこれまでのどのCDよりもらしさが記録されているし、十七弦も独特の音色でグルーヴを持ち込む。柔らかさも垣間見せるけれど、終始、痛いところを付いてくる感じもある。

PNLの金物を擦ったり摩ったりが、ライブの時よりも印象的。勿論あのパワフルな叩きもふんだんで、全く後ろになれない。

御大は御大らしく、と、ならないBrotzmannは、吹けば必ず注意を引く。なんでいつもこんなに、この人は吹くことが出来るのだろう?

全体がどうとかそういう事の印象はあまり無くて、同時に最大3つの個性が並行してくる。



良好な録音状態でライブらしい音ってのもいい。そんな音で優れた一回性の持ち主3人の演奏を繰り返す事が出来る面白さ、と同時に苛立ち。これ、ライブで聴いた人達が確実にいる。羨ましすぎ。度が過ぎる。



聴いてすぐ、2009年の12月のベストだと思った。だけどそれにしなかった。ログにすると聴かなくなってしまう癖。しかも『Volda』の正式リリース日は1月。ならばこれは、2010年度の1月のベストにあてはめられる。そうすれば、当面遠慮なく聴いてられる。その後1月中ぐらいにログにすればいいと思った。

気付くと3月。20回に達した再生回数。流し聴きなんか出来る類じゃないので、この回数、向きあった。今、これで打ち止めと思いながら再生中。当分封印予定。は未定。







Michiyo Yagi / Peter Brotzmann / Paal Nilssen-Love 『Volda』