ペーター・ブロッツマン生誕70周年記念 〜 ブロッツフェス 2011 初日

まあ、ここ数年、毎年見ているので、余裕はある。けど、ちゃんと、会場前にピットインに辿り着く。余裕が・・・。
今回のPeter BrotzmannはPaal Nilssen-LoveとFred Lonberg-Holmを連れての来日。Chicago Tentetのコアな面子という事らしい。まああ、今更何を言う必要もないドラムのPNLは、まあ、散々見ている。けど、結局毎度、「やっぱこの男は凄い。半端無い。おかしいだろ。」って、思う。手数の数とかスピードとか、スゲー。どうなっているんだろう・・・。アスリートだな、これは。で、今まで名前もろくに覚えてなかったFLH。チェリスト。シカゴでJim O'Rourkeなんかと関係の深い演奏者。らしい。どんな?って思ったら、この人、チェロの枠を簡単に外しまくっていて、それは勿論エフェクトを使って音を変えているって事なのだけど、エレキなギターにしか聴こえない時間多々。それでいて、時々アコな音色を挟んだかと思ったら、小型のアコベみたいにベース音するし、エフェクトを弄ってノイジーなのも扱うし、自由すぎる。あー、この人もヤバイ人だったか。まあ、Brotzmannが連れてきたのだからそうだろうとはわかっていたけど、確認してしまうと、色々と、なってしまうからなあ。
今夜は短めの3セットというやり方。最初がBrotzmann / FLH / PNLのトリオで、トリオでの演奏も聴きたいよなあって思っていて、まあでも、じゃずじゃ氏はこういう時ちゃんとそういうのを持ってくるのでそうなるだろうと思ったらやっぱそれで、ニヤニヤした。もうこのセットで、別にゲスト無しでもいいよなあって気持ちになる。
2ndで大友良英が加わる。こういう時の大友は人の良さが出てバックに沈みがちなのだけど、今夜はちゃんと大友のフリージャズを持ち込んでいたと思う。その大友の音にFLHが楽しみながら絡んでいる感じ。終盤には大友らしく「Lonely Woman」なフレーズも入れ込み、その後大友の独奏状態にBrotzmannが共鳴するところがヤバかった。
3rdは大友が外れて灰野敬二が加わる。Bortzmannと灰野と言えば、1年前のO'Rourkeとのトリオ編成が、まあ、個人的には恐らく色んな意味でのベストなライブだったのだけど、今夜は面子が異なる状況でどうなるんだろう?って思った。したら灰野、幾分ジャジーなギターをする。けど、少しずつ、違う方向。体の動きがそのまま音に直結しているようなあのギターらしきあの音がガーっと、する。あーやっぱ、灰野はフリージャズとは違う音だと思う。今夜の面子で明らかに一番違う。けどそれに、BrotzmannもFLHもPNLも、ちゃんと反応する。だから、このセットはフリージャズとは違うセットだったと思う。灰野のあのヴォーカルも、異物だけど違うっていうか。なんだろうな。
短めとはいえ3セットもやったのでアンコールは無理かもなあと思いつつ要求していたら、応えてくれた。全員揃い踏みか?と思ったら、Bortzmannと灰野のデュオ。誰の耳にも強く刺さる音なんだけど、美しい音なんだよな、これ。
明日はJim O'Rourkeと八木美知依がゲスト参加。かなりアクの強い2人、だな。