ペーター・ブロッツマン生誕70周年記念 〜 ブロッツフェス 2011 楽日

昨夜は、予定通りブロッツマン・フェスの最終日を鑑賞。Peter Brotzmann / Fred Lonberg-Holm / Paal Nilssen-Loveに加えて、ゲストで坂田明佐藤允彦
1st、まずはBrotzmannと佐藤さんのデュオ。ここ数年、Brotzmannのライブをかなり見ているけれど、ピアノとの共演は少なく、記憶にあるのが佐藤さんだけ。その佐藤さんとの演奏なので、初見の探りあいも必要なく、シンプルな美しいフリージャズ。個人的にはこういうの、凄い好きだったりする。その後、佐藤さんアウトでPNLと坂田さんが加わる。おー、こういう構成もやるのか!、って思ったら、なんかステージ上で「あれ?」ってなっていて、「んー?」と思っていたら、ホントは出てくるはずのFLHが見当たらない、という様子。ステージから呼びかけてみたりして、FLH登場・・・。で、ここから、爆裂なフリージャズと化す。FLHはこの3日間でもこのセットが最もアコな響きでチェロを使っている。電化された音が少ないってのがこのセットの持ち味。まあ終盤にFLHはそういう事するのだけど、バランスとしては丁度って、思った。
2ndは全員そろい踏み。1stでそれぞれがかなりテンションの高いのやったので、佐藤さんはどうするんだろう?ってなもん。またしても、全体が序盤から飛ばしまくる。けど、それをジーっと見つめて、音を入れない佐藤さん。このやりすぎな連中にあきれているのか困ったのかと思っていたら、入り込んできたピアノの音が爆音気味。ピットインで、アコなピアノの音をここまで大きくセッティングしたのは記憶に無い。まあ、そういう事なので、この後、阿鼻叫喚の怒涛。やりすぎ度はこの3日間で最もだった。勿論常に全体で音を発しているのではなくて、組合せが色々と変わりつつ。FLHは終盤近くまでチェロには触らず4弦のエレキなギター。FLHはサンプラーも使うので、それで佐藤さんのピアノの音をサンプリングして勝手にループさせたりしていて、それに自らチェロで絡んだり、佐藤さんが音を合わせたりという展開も織り込む。アルトとクラリネットを使い分ける坂田さんは、誰が主役?っていう演奏。しかし、まあ、やっぱあっけに取られるのはPNL。ホント、セッション時のPNLは毎度、あっけ。何度も聴いてきたのでいつか飽きるだろうというか、慣れると思っているのだけど、全く全然そうならん。しかもこの日はちょっと自分すら追いついていないような走りすぎになってしまう様な場面も何度かあり、それでもとっちらかないというか。こんななので、圧倒されたこっちは整理しながら聴くなんて出来ん状態だった。
セットが終わり、Brotzmannの英語でのスピーチ。ちょっと感動的な感じでこれはアンコールは要らんなあって思った。ので、周りの客とは外れて珍しくアンコール要求の手拍子には参加しなかった。のだけど、結局Brotzmannと坂田さんと佐藤さんのトリオで短いアンコール。
物販多用。いつもは大体最終日にだけ物販使うのだけど、今回は金曜のみ仕事帰りなので、鞄を持っているという事を考えて、じゃあ、金曜に物販使おう、と。その時に手にしたのは、まずは主役Brotzmannのを何かと思い、Full Blast(& Friends)の新譜『Sketches and Ballads』。次にPNLのをと思い、The Thingの新譜『Mono』。して、FLHの何かと思い、が、FLHのCDは全く予備知識が無いのでどれを買っていいのかわからん。悩んだ結果、3日間通しで物販担当していた某レーベルの社長も言っていたように、「ジャケットで選ぶなら・・・」と、Stine Janvin Motland / Fred Lonberg-Holm / Stale Liavik Solberg / Frode Gjerstadの『VCDC』を選択。2日目は休憩時に物販の近辺が空いていたので、じゃあちょっとFLHのよく見てみようと思って見てて、その中でCD-Rな独奏集『Anagram Solos』を見つけたので購入。あわせてPNL絡みのFrode Gjerstad Trio『East of West』も購入。3日目は、入場時に初日にさっさと売り切れたBrotzmannのDVDがディスプレイしていて、「お、まだどこかにあったか!」と思い、休憩時にでも買おうと思ったのだけど、3日目の休憩時はカウンター辺りがゴロゴロしていて、物販を選ぶどころかビールを買う気すら失せ、帰りでいいかと。したらそのタイミングではまたしてもBrotzmannのDVDは消えていて、「なんかなあ」と思った。のだけど、前日、密売の様に買おうかと思ったあれを、「でもやっぱり明日買います」と言ったので坂田さんの『平家物語』を求める。更についでに前作がよかったPNL絡みのCirculasione Totale Orchestra『PhilaOslo』も手にしてしまった。3日間のチケット代と、3日間物販で使った金額を比べると、イヤになった。なんか、これはダメだ。こんな感じで浪費を続けてはイケナイ。
あーでも、とりあえずFLHの2枚は即聴いたのだけど、これがどっちも、結構、嵌る。『VCDC』は、ヴォイス入りの即興なのでちょっときついかなあって思ったのだけど、そのヴォイス担当は前衛ヴォーカル的というよりSheila Chandra的なリズミカルなのが持ち味。他の楽器もバランスよく配置されていて、やってることは欧州フリーインプロだと思うのだけど、ポップにすら感じる。そして独奏集はエレクトリックなのを持ち込むんじゃなくて、ほぼアコでチェロをかき鳴らす。たまらない音が満載で、マジ、聴き惚れる。