My Favorite CD (2010 Best10+2)

今年も勝手に考えて勝手に公表。一応12枚に絞った。だけど月毎には出来ず、かなり反則技つき。追記で補足。
順位無し 選出月順 (Z並び)




12月半ば辺りから、今年リリースされたもので印象に残ったものを聴き返す。出来るだけ月毎の選択をしたいのだけど、無理はしなかった。
1月は八木美知依 / Peter Brotzmann / Paal Nilsenn-Loveの『Volda』。やはりこれになった。国籍も世代も違う3者の即興、フリージャズ。音の強さがそのままスケール感につながった、小さな場所で大きな演奏。圧巻。
2月は無し。Johnny Cashの『American VI: Ain't No Grave』とか、当然良いのだけど、未発表の類という難くせをつけて外す。絞り込んでいくというのは要するに、何か無理やりにでも難くせ、いちゃもん、因縁を付けられるところを捜していくという事。893だな。
3月も無し。ここはかなり苦しんだ。Axel Dorner / 今井和雄 / 井野信義 / 田中徳崇の『rostbestandige Zeit』と山内桂の『朝見』は、今のオレの状態が即興耳なら絶対に選ぶ。が、今、少し違う。
4月、町田康の『犬とチャーハンのすきま』。何年ぶりの作品だろう? 実際には少し古い録音らしいけどこれは外せない。マチーダ節炸裂のパンク。ユーモアがあるという事の面白さが存分。今年はマチーダの本も読みまくったし、何年かぶりにそうとう影響。
5月、the 原爆オナニーズの『SOLID』。日本の誇る、最長パンクバンド。ここに来ていまだにカッコいい。マジでカッコいい。どうだ参ったか? ベースの音に吹っ飛ばされろ!!
6月、登川誠仁の『歌ぬ泉』。今年はホントに色んなことを考えなければいけなかった。考えて疲れて、でも考える。考えるからこそ知性は育つんじゃないか? でも、考えたくせにあまり知的になってないのはほっといてくれ。とにかく沖縄の事をこんなに考えなければイケナイのかと、疲れながら、セイ小オジーの歌声を聴く。幼少から馴染んできた音楽。これ以上の癒しはない。FrictionとEminemをちぎった。
7月は山本精一の『Playground』も繰り返したのだけど、Olive Oil / Ill-Bosstino / B.I.G. Joeの『Mission Possible』。リリースされたことに意味がある。2010年で1曲だけ選ぶならこの曲。
8月。この辺りからかなり強力作が並ぶ。Los Lobosの『Tin Can Trust』やThe Black Crowesの『Croweology』。更にBuffalo Daughterの『The Weapons of Math Destruction』も良かった。結果、選ばず。どれも好きだけど、不思議とあまり繰り返していない。
9月。この月が強力な激戦区。Phewの『Five Finger Discount』、Moritz Von Oswald Trioの『Live in New York』、Fennesz / Daniell / Buckの『Knoxville』、Grindermanの『2』、Suicidal Tendenciesの『No Mercy Fool / The Suicidal Family』、Superchunkの『Majestic Shredding』、Chocolate Genius Incorporatedの『Swansongs』、Zanussi Fiveの『Ghost Dance』、Jesus Feverの『lemniscate』。クラクラしてきた・・・。なのでこの月は2作品。まずは広瀬淳二の『the elements』。強力なサックス独奏集。スピード感に圧倒され、音楽をパーツ的に並べてしまった詰め込み方にもしてやられた。この作品を含め、今年をレーベルでみるとダウトが圧倒している。先の『rostbestandige Zeit』や静寂とONJT+等、今までも出てくるもの全部印象的な作品ばかりだったけど、今年は特に凄かった。
もう1作はBushman's Revengeの『jitterbug』。この作品自体は6月リリースのものだけど、そのライブを見てCDを買ったのが9月。それまで全く知らないバンドを興味本位で見に行ってブッ飛ばされた。フリージャズかアヴァンだろうと思っていたら、ロック。しかも強力なロック。ライブでは演奏がつながっていたけれど、CDではちゃんと独立していて、ロックとしての作曲のクオリティの高さにも気付く。恐らくジミヘンをベースにギターを弾いてきたEven Helte Hermansenのギターと、手数とスピード感がカッコよく決まるGard Nilssenのドラムが走り、ライブでは怪我の為演奏できなかったRune Nergaardのベースがしっかりと押さえつける。それはトリオの基本形ではあるけれど、ロックでそれがここまで嵌るのは珍しい。このアルバムでは数曲Stale Storlokkenが色づけもしている。
10月。ここが一番の反則。この月から4作品。Jon Muellerの『The Whole』、Combopianoの『Combopiano』、Joe Morrisの『Camera』、Mike Wattの『hyphenated-man』。Jon Muellerの『The Whole』はミニマルな作風。これまでJon Muellerという人を全く知らなかった。なのでこの作品に出会ったのは偶然でしかないのだけど、奇形で美しいミニマル。
Combopianoの『Combopiano』は「でかした!!」って感じだった。歌え歌えと思っていたら歌うようになり、それがよりパンキッシュになったのがこの作品。デビュー当時はニヒリストなタイプだと思っていたのに、実際はスゲー熱血な琢磨。
Joe Morrisの『Camera』は今年の選んだものの中で一番ジャズ。今、急にジャズな作品にはまっているのは、元はMorrisのこの作品を聴いてから。フリーの側に置かれる人だけど、Morrisのギターはとにかく粒の揃った単音が羅列される。これはやはりジャズなギター。それからJoe Passのソロじゃない作品を聴いて、更に・・・、という状態。『Camera』は2つの擦弦楽器とドラムとMorrisのギターという不思議な組合せなのだけど、何回聴いても飽きない。
Mike Wattの『hyphenated-man』はとにかく聴きまくった。これはパンクなロックから始まったキャリアがロックのまま成熟した形。大人の音という事とは違う。でもそういう意味含みでもある。
11月も強力。リリースはちょっと前だけど、この月に手にしたSupersilentの『10』、静寂の2枚、更にONJT+の2枚に、Femi Kutiの『Africa for Africa』、そして八木美知依 / Elliot Sharpの『Refractions』。が、この月も選ばず。というのも難くせで、静寂とONJT+はどちらも2枚同時リリースだったので選ぶと2枚とも選びそうになり、だからと言って1枚だけってのも違うし。ちょっとリリースの形態がこういうものの中に入れる事から外れているので、そういう難くせ。八木さんとE#の組合せは音楽としては『Volda』より好みだったりするのだけど、これも録音が2005年とちょい古いので、そういう理由の難くせ。Supersilentは単純に繰り返すというまでは聴いてないし、Femi KutiFela Kutiのボックスが届いてそっちを聴くのを優先してしまっている為、こっちも聴きこみが甘い。
12月はSoul Flower Unionの『Camp Pangaea』。ある程度のポピュラリティーがありながら、実際にはオルタナティヴというのがSFU。単純に作品としてみるならばバラエティに優れた『Cante Diaspora』が好みだったのだけど、『Camp Pangaea』は音楽的にもポジティヴ感をあえて強くしたように思えて、時々のトピカルを前向きに消化しようとするやり方に毎度共感。このバンドがいる事に救われる事が何度もある。
振り返るとライブだけじゃなくて、やはり録音物もかなり楽しんだ。音楽の事で揉めたり喧嘩したりがあるけれど、でもそれ、長閑な話に見える。
(^o^)v