内乱の内覧 2008 (ちかもらち + 恐山) - 1st Night

Darin GrayとChris Corsanoが来日して、坂田明とJim O'Rourkeの4人でライブ。こんなの見つけて足を向けなければ、T0ky0 C0nfluxに5日間通ったといっても片手落ちだろと、か、思いながらピットイン。きっとかなりの集客だと思い、開場前に到着。が、19:30を待つ人が少ない・・・。SDLXと違って、視覚を確保したければ開場時に来ていないと苦しいピットインなのに、パッと見20人程度しか見当たらない。もしかして日を間違えたか?と思って入り口でスケジュールをチェックしたけど間違っていない。演奏開始までにはそれなりに人が入ったけど、この面子でこんなもんでいいのだろうか?

まあそれはいいとして。ちかもらちと恐山という2つのユニットの名前があったので、1stと2ndに分けてそれぞれ演奏か?と考えていたら、4人まとめての演奏。この4人が揃ったライブというのは以前もあったので、予想出来なかったわけではなかった。



1st、演奏が静かに始まる。ペースを作ってるのはO'Rourkeだろう。そのO'RourkeのギターとGrayの(アコースティック)ベースとCorsanoのドラムが一体となって空間を作る中、坂田さんのサックスが少しずつ熱を帯びる。それに共鳴するO'Rourkeだけど、決して坂田さんより前に出ない。Corsanoも空間を支配せず、Corsanoも煽るという叩きとは違う。浮き上がるのはあくまでも坂田さんのサックス。自我のアッピールを押し殺した演奏。

続いて、最初の曲と同じような展開を持った演奏が行われる。ここで坂田さんはクラリネットに持ち替え。他の3人の演奏は最初の演奏より抽象的になり、それでもサウンド・スケープに逃げもせず、絶妙に演奏が作られていく。

2ndはテンションの高い演奏から始まる。Grayのベースも音量が上がり、Corsanoの音数も増える。そして坂田さんとO'Rourkeが共鳴しながら熱が高まり、坂田さんのサックスが音を出し切った後、やっとO'Rourkeの音が前面に。だけどそこでも音量は抑えられていて、この音をコントロールする感覚が言葉にしにくいほど魅力的。そしてGrayのベースがフィードバックし、その音がピットインをジャズのハコである事を忘れさせる中、坂田さんの語りというか、ヴォイス・パフォーマンス的な歌。なんか「生卵」とか言ってて、音と言葉の対比がヤバイ。

本編の最後は、1stの様に上げどころを少なくした演奏。O'Rourkeのエフェクトを排した美しい音が静かに先陣を切り、Corasnoが擦りを多用した音で色付け。Grayはここでまた音量が下がり、この感覚が他のベース奏者と異なって見える。その中を、坂田さんも漂うようにクラリネットで歌い上げ、ジャズともアヴァンとも違う、不思議な感覚を持ったライブが終わった。

アンコールはガガガッと演奏。まあこれはお約束みたいなもので、でも、短い時間に叩き込まれる音の乱雑さがいい。