内乱の内覧 2008 (ちかもらち + 恐山) - 2nd Night

今日は土曜だし、昨夜よりは集客があるかと思ったら、、、恐らく昨夜よりも少ない。これ、何故なのだろう?

演奏された構成としては、昨夜に近いものだった。だけど、演奏されている内容は異なり、2日続けて足を向けた事を満足させてくれた。

1st、まずは昨夜と同じように静かに演奏が立ち上がる。徐々に熱が上がり、坂田明のさすがの存在感の後、Jim O'Rourkeにソロが渡る。ここでO'Rourkeは、昨夜よりもテンションの高い音を撒き散らす。キレル寸前の音。2人の強烈な音が続けば、普通はこのテンションのまま演奏を終わらせるところだけど、それを許さないのがこのユニット。演奏が終わったと思って拍手をする観客をよそに、まだ終わっていないとでも言うように演奏を続けるO'Rourke。この時のO'Rourkeの音に対する姿勢が、オレをうれしい気分にさせる。熱を上げるためだけではなく、演奏される全体を見ながらのO'Rourkeならでは、とでも言いたくなる。

続けて今度は熱を求めない演奏。だけど出てくる音は多彩。

演奏された2曲だけでは少々セットが短いと思ったのか、坂田さんがO'Rourkeに確認してもう1曲。ここはガッチリとフリージャズを思わせる演奏で、テンションの高さで押し切る。

2nd、Darin Grayが右手に軽くテーピングをしているのが確認できる。1st時はしていなかったはずなので、演奏中に痛めたのだろうか? でも、だからと言って演奏の手を抜かない。始まった演奏は強烈な音が飛び交うもので、1stの最初の演奏から導入部を端折ったような状態。自分のソロが終わった後、バクスラを置くために用意してあったピアノの椅子に腰かけ、O'Rourkeと対面するような状態でその演奏を見つめる坂田さん。前にも書いた気がするけれど、オレは坂田さんのこの姿が大好きだったりする。熱の上がってきたChris Corsanoがスティックを飛ばしてしまい、それを拾った坂田さんがCorsanoのところに戻そうとすると、それをGrayが受け取り、自らのベースの演奏に利用。小さなハプニングだけど、それを利用することが柔軟性というもののはず。

続けて、上がった熱を奪い去るような、だけどそれを微熱で続かせるような、表現のしにくい演奏。媚薬のように魅惑的で、ひしゃげたようにはしゃいでいる。

アンコールは、やはり圧縮された音の放出。それぞれが恐らく、演奏者としての視点だけではなくて、ハッキリとした音楽観を内包していて、それがこの2日間の演奏に現れていて、他と比較しようの無い演奏を聴けたと思う。



このユニットでのライブは、この後名古屋京都宮崎札幌花巻と続く。オレがこの数ヶ月見たライブの中でも最も印象に残るものだったので、見るチャンスがある人はそれを逃さないで欲しい。絶対に、間違いなく、優れた演奏を聴いたという感想が残るはず。こんなに柔軟に音を出せるユニットは、今のところ他には見当がつかない。




物販を利用。それも昨夜と今夜、両日とも。だけど並んでいたのは既にオレは持っているものと、Corsanoが持ってきたと思われるもの。昨夜はCorsanoとPaul Flahertyのデュオ作『The Beloved Music』と、その2人にC.Spencer Yehが加わった『A Rock in the Snow』の2枚を購入。それを昨夜のうちに聴いて予想以上に面白かったので、さらにCorsanoとPaul Flahertyのデュオ作『The Hated Music』、Corsanoが参加しているユニットCold Bleak Heatの『Simitu』、そして、CD-RだけどCorsanoのソロ作『The Young Cricketer』を手にした。『The Young Cricketer』を聴きながらこれを書いていたのだけど、その『The Young Cricketer』がかなり面白い。ドラムだけではなく、他の楽器も使ったこの作品、なかなか楽しい。そしてPaul Flahertyとのデュオ作も、サックスとドラムだけという若干手にしにくい作品にも拘らず、デュオだからこその音の拾いやすさがあって、いい買い物になった。オレが買ったものは輸入盤だからか、CD-Rが¥1,000で、それ以外が¥1,500〜¥1,800とかなり安い。この間の数日間続いたイベントのライブでは、輸入盤が1枚¥2,500とかして、これならネットで買えばもっと安いと思いながらも支払ってしまった事を思えば、今回の価格設定は良心的。