坂田明&ちかもらち ジム・オルークと恐山 / 内乱の内覧 2009

ちかもらち&恐山、ピットインでの2daysと今夜のスーパーデラックスでのライブを合わせて、東京3daysだった。



今夜はゲストに秋田昌美を加えての演奏。この3days、客入りは今ひとつだったけれど、個人的には3つとも見れてよかった。ホントにどれも外さなくて良かった。ちょっとした至福。昨夜の分も合わせて、明日続きを書く予定。でも明日はあのライブが・・・。



って事で続き。



初日は4人だけでの演奏だったのだけど、これまでに何度も共演している面子らしく、ごちゃごちゃまとまった演奏。スピードの上がったところと抑制の効いたところの両方で全く飽きさせない。とにかく多弁な集団。1stの終盤にアクシデント発生。Grayのアコベのブリッジ(駒っていう?)が外れ、弦がだらっと弾けない状態。困り顔のGray。それでもなんとかアプローチを開始。実は何気にフリーインプロ的なアプローチを多用するGrayは、ここで色んな事を試す。でもやっぱり落ち着かないらしく、演奏終了前にアコベを床に寝かせて修理に取り掛かっていた・・・。



2日目は4人に八木さんが加わる。箏の特徴的な硬い音が、4人のごちゃごちゃの中から浮かび上がったり場合によっては埋もれたりするのだけど、それが逆に耳に入りやすい。八木さんとGrayのデュオ状態での違う音色の絡みがカッコよかったし、更に八木さんとCorsanoのデュオ状態でのスピードの上がり方が面白く、千切ろうとしているようにすら見えるCorsanoに食らい付く八木さん。なんか、凄くジャズ的な醍醐味。

が、この2日目、最も目立ったのはO'Rourke。あのブチ切れるO'Rourkeが姿を現す。1stからブチ切れていて、咆哮しながらギターを掻き毟る。若干恐怖すら感じる。2ndでは更にヒートアップ。椅子から転げ落ちながらギターを弾くO'Rourkeを何年か前に見たけれど、今回も転げ落ちながら、その椅子を乱暴ステージから客席側にどかし、ギターをアンプに押し当てる。その後はもうひっちゃかめっちゃか。やりすぎてシールドをつぶしてしまい、2ndの終盤からはあまりギターが弾けない・・・。ピアノによる静謐な演奏もあったのに、ピアノを弾いている姿より、ギターの弾きすぎでピアノの椅子で休んでいる時の表情の方が印象に残った・・・。



ピットインでの2daysを終え、翌日はスーパーデラックスでも演奏。東京としては3daysって事になる。演奏開始前、坂田さんが今夜は90分の1セットである事を告げる。

その3日目はゲストで秋田昌美。以前O'Rourkeと秋田の共演があった事は知っているけれど、このバンド編成に秋田を加えるという試みがO'Rourkeの面白さ。

アヴァンギャルド全開だった前日と比べると、あえて秋田という素材を取り込む事を狙ったかのような演奏になる。秋田がラップトップで放つドロ−ンな重低音の聴感が明らかに楽器類と異なるのが特徴的で、そこにフリーインプロ的にO'Rourkeが音を絡め、最終的にはGrayやCorsanoも音色を重ねる。そういうサウンドスケープな演奏と、坂田さんの無伴奏状態での強力なソロが同居。例えばONJOにも通常の楽器奏者とは異なる面子がいるけれど、それとも違って、もっと明確にその音を取り出そうとしている(取り込もうとしている?)ように見えた。



通しで振り返ってみたのだけど、とにかく面白かった。意識しながらCorsanoの音を拾って圧倒され、何気に多彩なGrayに惚れ惚れして、サックスやクラリネットの説得力は勿論な坂田さんのはやしたてるような咆哮にニヤついた。

そしてインプロヴァイザーとしての八木さんの音が相変わらず麗しく、ノイジャンとは違った立ち居地に変わって来ている秋田の面白さもわかってきた。

そしてこれらをオーガナイズしている(はずの)O'Rourke。やっぱりこの人の内なるものは今後も見逃し難い。



あんまり関係ないけど、Darin Grayってなんか紅茶みたいな名前だよな?