Mal Waldron

キャンディーズだった人の逝去は、オッサンとは言えども世代的にあまりよく知らない人達だったので、正直あまりショックは無いのだけど、その田中好子さんの代表作として『黒い雨』という映画の事が目に付いて、まあ、それも見て無いのだけど、その『黒い雨』というタイトルでMal Waldronの『白い道 黒い雨』を思い出して、引っ張り出した。
ジャズという音楽で、何かに対して、直接的な態度を見せる。というのは少ない。考えてみても、抽象的なテーマ以外、あまり思い浮かばない。けどWaldronは、広島の原爆資料館で思い知った被爆という現実と、そこにあった伊藤笙さんという被爆者の方の書いた「白い道」という詩が忘れられず、その「白い道」に曲をつけて、1995、8月6日に広島の善正寺という場所でコンサートを行い、その時の演奏が『白い道 黒い雨』に収録されている。英訳された「白い道」を歌うのはJeanne Lee。更にフルートで天田透が加わっている。
そういう内容を持った音楽なので、どんなトーンで音楽が奏でられているかは、想像に容易いと思う。この音楽の重さは、小洒落た音楽としてしかジャズを知らない人の興味は呼ばないと思うけど、これも、ジャズ。