HIROSHI MINAMI GO THERE!

Swansのライブ中止を受け、結構ショックだった。Swansが見れないという事より、またしてもライブを見る予定が消えた事。これがショックだった。けど、折角確定申告書を発送して1つ重荷がなくなる日なので、このままじゃツマラン。が、して、普段足を向ける場所をチェック。数々のライブが中止になる中、ピットイン、気骨を見せて営業をしている。しかも今夜は南博のGo There!。過去2度見ただけだけど、こういう距離感で接するモノもあってもいいと思っていて、その距離感が丁度、今夜という事なのだと思った。
地震以降、繁華街を通るのは今夜が初めてで、新宿のあまりの暗さに驚いた。節電は必要。けど、今のこれは何か違う気がする。足取りも重くなる。でも、ピットインのドアを開けた。
どこもかしこも自分も、数日前とは色々変わってしまって、そんな気分でジャズというのはどうなのか?と、正直、考えた。もっとハッピーな、或いは緩い、そういう音じゃなければ気持ちが苦しくなるんじゃ無いだろうか?って思っていた。けど、竹野昌邦のソプラノ・サックスの音色がメチャクチャ良くて、んー、なんだ、余計な事は考えなくてもいいんだなって気付く。竹野のソプラノで開けた気がした。
水谷浩章はエレベで、アコベの圧倒的な音色とは違うけれど、エレベだからの滑らかさで、少し線を細めに定位。常に後ろなのだけど、2ndの最後の曲での冒頭のベースソロの激テク。見せ所をここまで取っていたか。
3月半ばで、やっと今年初めて芳垣安洋の叩きを聴く。ジャズの芳垣。ジャジーに、でも、存在感は消せず。1stの最後の曲での長いドラムソロの圧巻。なんか諸々、これで吹き飛ばされた。
南博のピアノの音は、凛とした印象を、録音物しか知らなかった頃から、持っている。そういう音は、クラシックなんかのイメージなのだけど、南のピアノは徹底的にジャズ。何故だろう?、わからん、単にジャズな曲だからという事とは違う。なんだろう?って思っていた。して、そのMCで気付いた。自らの音を「官能的」と称した時、そうか、その官能があるから、南の音はジャズだと思った。そして、ジャズというのは、或いは、ジャジーというのは、官能的という意味だと思った。
あまりに面白すぎな南のMC。面白いMCというのは、まあ、割とあるのだけど、こんなに爆笑させられた経験は無い。飛びすぎ、飛ばしすぎ。ジャズの魅力を見せつけ、MCで爆笑させて、アンコールでは南がソロでMonk。2つのセットそれぞれで1回ずつ地面が揺れたのだけど、まあ、ここでどうにかなってしまうのなら、職場よりは全然マシだな。って、思ってしまった。
まだ開演前、「ありがとう!!」という声。雑誌を見ていたので「何だ?」と思って声の方を見ると、ステージ側の扉から入ってきたと思われる南だった。
入場時、ピットインの方に「こんな時に、ありがとうございます」と声をかけられた。なんとなく苦笑いしか出来なかったのだけど、違うんだよなあ。それはこっちのセリフ。こんな時に営業してくれて、ありがとうございます。