約568分

晦日amazonの箱と一緒にもう1つの箱が届いた。その中には『Hail! Hail! Rock 'N' Roll』。



米軍基地の問題で騒がしい沖縄。その事について書くのは趣旨から反れるのでやらないけれど、基地はあっても、両者の距離は金網の厚みからは気付かないぐらい遠い。だから、当たり前にありそうな輸入盤はオレがいた頃の沖縄には無かった。だけどなにかの拍子で数枚それが入荷される事があって、その中にChuck Berryの『Hail! Hail! Rock 'N' Roll』を見つけた。



ロックの基本。そういう事を気にしない人は多いみたいだけど、オレは大いに気になってその辺りをそれなりに聴いた。一番気に入ったのがLittle Richard。Chuckは、知らない様で知っている曲が目白押しな事にビックリした。

『Hail! Hail! Rock 'N' Roll』はChuckの60歳を記念したライブを収録した映画のサントラだった。音楽監督としてKeith Richards。



そのCDはとっくに手元に無く、まあ別にそれでいいのだけど、2年前に『Hail! Hail! Rock 'N' Roll』のDVDがリリースされて気になった。即入手という気持ちにはならなかったのだけど、今頃になって機が熟した気がしてオーダー。DVDには2種類あって、2枚組4枚組。ここは4枚組を選択するしかない。

その4枚のDVDを今日一気に見た。収録時間は約568分とある。こんなことしたの初めての事で、多分2度とやらない。



映画本編はChuckのライブの為のリハーサルと、肝心のライブの映像が収録されている。Chuckはいい年にも関わらず、やんちゃな性格。リハーサル時にそれをなんとかしようとするのがKeithという構図が笑えるのだけど、そのKeithがMickより厄介だと言う。

それ以外にもChuckについてのインタビューをLittle RichardやBo Diddley等の同世代のミュージシャンや、Bruce Springsteen、更にサンやアトランティックのレーベル・オーナーに行っていて、それが収録されている。



実はこの4枚組、本編以外のディスクも凄い。映画ではわずかしか使われなかったインタビューが各々30分ぐらいずつ収録される(何故かSpringsteenは無い)。その中ではChuckの事以外にも当時の状況などにもついて語られていて、これが興味深い。ロックンロールの定義についてや、その音楽を広める事に大きな役割を果たしたDJのAlan Freedについて、そして赤裸々にお金や賄賂についての言葉も聞ける。

更に本編では使われなかったリハーサルのシーンや、本編には登場しないRobbie RobertsonがChuckを訪ねて語り合ったり、Chuckの詩の朗読とRobbieのギターの即興的なセッションとか、鳥肌モノ。

映画の裏話ももちろん。ネタバレになるので書けないけれど、この映画撮影時のChuckの(お金に対する)態度の凄まじさについて監督が語るところは、Chuck Berryがただギターを弾いて歌うだけの人ではない事を思い知らされる。



約568分という長尺にした事でもう映画という感じではないのだけど、いいとこ取りのドキュメンタリーとは一線を画す。





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Chuck Berry 『Hail! Hail! Rock 'N' Roll』