国仲勝男

『結成40周年記念! 山下洋輔トリオ復活祭』という催しがあるのは何枚ものチラシで知っていたけれど、山下さんが日本のフリーなジャズのパイオニアである事も知っているけれど、自分の好みではないので足は向けなかった。それをちょっと検索してみて、今更他の面子を知った。

なんで菊地某?、なんか繋がっていたのかとちょっと驚き、そして国仲勝男の名前を見つける。



オレがジャズを聴きだした頃、サックスの林栄一、ベースの国仲勝男、ドラムの小山彰太のトリオ編成で、『The Trio』というアルバムを手にした。それはジャズという音楽を聴くキッカケとなったレコード屋で手に入れた。当時それはまだ新譜で、レコードが置いてある箱で最も目に付くところにディスプレイされていた。オレにジャズを教え込んだレコード屋のお姉さんに、「何これ?」と尋ねると、「このベースの国仲さんは沖縄の人なんだよ(地元の人だから応援という意味)」と教えてくれて、そして聴かせてくれた。このアルバムのリーダーが誰だか知らないけれど、その国仲のベースがカッコよかった。林のサックスなんて、ヨレヨレの音にしか思えなかった。なので色々思ったけれど、とりあえず買わなかったのだけど、週に二度三度と遊びに行っていたそのレコード屋で、ある日突然『The Trio』が無くなった。結局全然売れなかったので、国仲(当時は首里でジャズ喫茶を営んでいたとか)が持ち帰ったらしい。そうなると逆に欲しくなり、後日1枚だけ再入荷してくれた。



まあもう古い記憶なので『The Trio』というタイトルは間違っている可能性はあるけれど、せいぜい『Trio』だったかもしれないぐらいのうろ覚え。沖縄に帰れば今でも生家にこのレコードはあるはずなのでその時に確認するけれど、これ、どこか再発しないもんだろうか? CDになった事も無いはず。インディーなものだったはずなのでカタログしにくいかも知れないけれど、もう20年ぐらい市場から消えたままってなんか不自然。



国仲の公式な録音というのはそんなに多くなく、オレも手元にあるのは1枚だけ。それは武田和命の『Gentle November』で、これも長いことカタログから消えていたけれど、今年になってやっと再発。この『Gentle November』で、オレは初めてジャズのバラッド表現の意味を知った。