KIKOE

約3年ほど、大友良英のライブに帯同してカメラを回し続けた岩井主税による大友のドキュメンタリー映画KIKOE』。海外の映画祭で好評を博したとかで一部で話題になっていたけれど、それがやっと本国の日本で公開。と言っても、今夜の吉祥寺バウスシアターでの上映は先行上映で、7月のユーロスペースでのレイトショーが本チャン。そこまで待ってもよかったけれど、今夜は上映後に大友のライブ演奏もあるという事で、爆音なんたらで有名なバウスシアターに初めて行ってみる事に。

集客が全く予想できなかったけれど、何年か前の大友のピットインでのソロ演奏ライブ時が大体100人ぐらいだったと思うので、そんなもんだろうなあとか思いながら、上映開始予定の10分ほど前に到着。30人ほどが中にも入らずにチケット売り場の前でウロウロ。「なんだ?」と思ったら、満席に近い状態の為キャンセル待ち・・・。「マジか?」と、普段なかなか足を向けない吉祥寺まで来て映画を見ずに帰れと?とか思っていたら、立見でなんとか入れる。映画の立見の記憶は無いのだけど、このまま帰るよりは立見でもいいから見る事に。それに実は、ライブなんかは結構立見が好きだったりする。



ドキュメンタリーとは言ってもわかりやすい説明の付加された内容ではなく、ライブの断片や大友と関わりのあるミュージシャンのインタビュー等を交えた作り。

この映画館だからなのか、音の印象が良い。あの2台のギターによるモジュレーションもピットインやCDで聴いた時より、この映画ではわずかな時間の登場にも拘らず印象に残る。

最も印象に残ったのは、東京湾(或いはどこかの河?)で、船が画面の左からインしてアウトしていく映像。水面を含めたブルー。その色の印象が濃く残る。この映像のバックは大友の爪弾くギターと菊池某による「Sweet Memories」の歌唱。

内容が内容だけに書きたいことは色々あるのだけど、7月からが本格的な公開という事なので、ネタバレしないようにこの辺で。でも、内容が内容だけにネタバレしても問題ない気もするけど、自粛。だけどもう一つだけ、時々無音な状態がやってくるので、バリバリとスナックとか食べながら映画を見るタイプの人はご注意を。



映画が終わった後、大友のライブ演奏。なかなか演奏する気分に切り替えきれないらしく、軽く喋ったりして、いきなりあのU字型の金具をギターに押し当ててノイジーな音が飛び出す。今までに何度も聴いている大友らしい音なのだけど、音が良い。多分、こういう演奏を聴いた中で、最も響きの良い状態だった。これもちょっとインパクト。そのままインプロで押し切るのかと思ったら、昨年辺りからやりだすようになった歌唱。弾き語る大友。この姿にも少し慣れつつある。歌われていた曲はかなり古そうなのでタイトルは知らないけれど、以前、大友絡みか大友自身が歌っているのを聴いた事がある曲。

15分〜20分ほどの演奏だったと思うけれど、映画の後だけに丁度良い長さだったと思う。今スクリーンで見ていた音がライブで確認出来るのも面白かった。



最後は、客席にいた岩井を大友が呼び寄せて挨拶させる。「7月からユーロスペースで上映なのでよろしくお願いします。」って、今それを見た客に言ってもなあ・・・。笑かす。