The Mad Capsule Market's

という事で、ブッチャーズだけでは無くてMadも今更聴きなおしている。Madを聴きだしたのは当時つるんでいた連中の影響で、自分で初めて買ったのはそいつらとの縁が切れた後の『Park』だった。このアルバム、何回聴いたかわからないぐらいに聴きこんだ。初版に収録されている2曲のボートラ以外は今でも口ずさめる。といっても、「In Surface Noise」とか口ずさむというのは変か。その後、アルバムで『Digidogheadlock』、シングルの「MIDI Surf」まででMadを聴く事をやめてしまった。『Digidogheadlock』で完全にデジタルなロックになってしまい、それがオレの趣向に合わなくなった。それならば「MIDI Surf」を手にしたのはおかしいのだけど、これはオマケのチョロQが欲しくて手を出した・・・。

聴きなおしてみても『Digidogheadlock』は個人的には苦しい。でも、シングル曲「Systematic.」と、そのカップリングだった「Asphalt-Beach」はカッコいい。だけどそれ以外の曲が、デジタルな音圧に頼ったものになってしまっているように思えて、聴き続けられない。

このバンドの音、個人的にはヴォーカルのKyonoのイメージしかない。その声、ヴォーカリゼーション、正しくロックという音楽の持つイメージをそのまま持っている歌なのだけど、「公園へあと少し」、「時ノ音」、「Normal Life」、「Jesus is Dead?」なんかでは、それだけではない歌を聴かせてくれて、そういう歌はアルバムでは効果的に響くようになっている。

そして、歌詞に魅力を感じる。大体のバンドではヴォーカルのみが歌詞を書く事が多いのだけど、Madはそういう事になってなく、他のメンバーの方が歌詞を書いている事が多い。音、歌詞を合わせて、オレにとってのベストは「Possess in Loop」。『4 Plugs』のバージョンではなくて、『The Mad Capsule Market's』に収録されている方の「Possess in Loop」。だから表記としては「Possess in Loop!!!!!!!!!!」の方が正しいか。オリジナルの『4 Plugs』のバージョンではテンポの遅い曲だったけれど、「Possess in Loop!!!!!!!!!!」では圧倒的なスピード感と、それでもグルーヴを伴った曲に生まれ変わっている。曲としてのカッコよさに加えて、ここで歌われる歌詞が直情的なパンクの表現とは異なり、いや、この曲だけじゃなく、オレの知っているMadの曲の言葉はどれもがそういうものだけど、「Possess in Loop」では自らを「オレ」じゃなくて「私」と歌う事で、その印象をより強くさせている。「高層ビルのエレベーターの中で目を閉じて見る様な考え 10ヶ月前と同じ場所で私はそれを理解している」、「子供じみた正義感や無駄のある無知にとらわれていた午後 10ヶ月前と同じ場所だ 私はそれを恐怖している」。どこかの団体から「金寄こせ」と言われそうなぐらい書いてしまったけれど、とにかくこの言葉に当時のオレはやられ、今聴いても相変わらず。