Neil Young

どうも最近リリースのチェックが甘い。レコファンに行って、「こんなの出たのか」と思うような事が多々ある。それが日本盤なら帯に書いてある事でそれがどういうものかわかるけれど、輸入盤でポップもついていない様な物は、それが純粋な新作なのか未発表もののリリースなのかわからない。

Neil Youngの新作『Chrome Dreams II』が入荷した時も、「これって・・・」という状態だった。『Chrome Dreams』はお蔵入りしたアルバムで、『American Stars 'N Bars』に収録されている「Like a Hurricane」なんかは、元々『Chrome Dreams』に収録される予定だった曲。そんなアルバムのIIって事は、もしかしてBrian Wilsonが幻のアルバムを再吹込みした『Smile』の様なものなのか?と思った。だけど収録曲を見ても見覚えのあるタイトルは見つからず、なんだかよくわからないながらもそのままレジに持っていった。帰宅後ネットで調べて、『Chrome Dreams II』はリリースされていなかった曲の新録や、新曲を交えた新作である事がわかった。だけどあえてこのタイトルにした理由はわからない。

そんなこんなはこの辺で。アルバム冒頭のフォーキーな曲「Beautiful Bluebird」にいきなり持っていかれる。もろに泣きのNeil節炸裂。かなりセンチメンタルな曲想と言えるけれど、オレはNeilのこういう曲に弱い。だけどこのアルバムの核は間違いなく「Ordinary People」。18分を超える曲だけど、全編に歌詞が用意されているあくまでも歌モノの楽曲。輸入盤を買ってしまったので相変わらず何を歌っているかわからないけれど、曲のタイトルだけでもある程度の想像はつく。ミドルテンポで悠々進みながら、印象的なサビを持つ。そしてホーン陣をバックにしたNeilのギターソロは、あいも変わらず響くものがある。この「Ordinary People」はThis Note's for You』の時のアウトテイクらしく、しかもその時の録音をそのまま使っている。こういうとっ散らかったアルバムの作り方がらしいというか、憎めない。同じく長尺の曲「No Hidden Path」も、地に足のついた力強い音でダレることなく一気に聴かせる。









Neil YoungChrome Dreams II』




購入時にはどういう代物かよくわからなかったにも拘らず、オレが買ったのはDVD付きの方・・・。このDVDはPVや録音風景ではなく、静止画やそれに近い状態の映像が入っているらしい(結局未見)。このDVDをDVD-Audioと勘違いしているものも見受けられるけれど、これはDVD-Videoの規格で作られている。特に目を引く映像があるわけでもないのに何故こういうものをつけて売っているかと考えると、恐らくDVD-Audioの代わりなのだろう。実際、Neilの作品にはDVD-Audio盤が結構ある。CDに比べて高音質のフォーマットで作品をリリースしたいという姿勢なのだと思うけれど、その目論見は恐らく大きく外れたはず。それは、DVD-Audioはそれが再生できるプレイヤーがなければ何の役にも立たないものだからで、例えばSACDは通常のCD(CDDA)とハイブリッドで提供できるけれど、DVD-Audioはそんな事が出来るはずも無く、結局通常のCDとDVD-Audioという2種類のフォーマットで作品をリリースしなければいけなかった。最近の機種ならDVD-Audioに対応しているものも多いと思われるけれど、それを気にして購入する人も少ないはずで、結局DVD-AudioSACDに対しても需要の面でも負ける事になった。だからDVD-Audioで今更作品をリリースするなんて無駄な事。だけどCDより高音質のものもリリースしたい。でもSACDはワーナーにとってはライバルのソニーが関わっている企画なので使いたくない。そういう諸々を解決する唯一の手段がDVD-Videoでのリリース。なぜDVD-Videoでリリースすると高音質なのかと言えば、実はDVD−Videoは最高で96kHz/24bitsという高音質で音を取り込むことが出来る。通常DVD-Videoのメインは映像だから、映像を高いビットレートで収める為に音声に関しては程々のビットレートですませてある。それを逆転の発想にし、映像を低いビットレート、音声を高いビットレートにしてしまえば、高音質のメディアとして供給できるという事なのだと思う。それにDVD-Videoなら、殆どのプレイヤーで基本的に再生可能だから需要もある。という狙いで作ったものなのだろうけど、実際にこれを高音質で再生する為にDVDプレイヤーで再生するかと言えば、そういう事はしなかったりする。