Bruce Springsteen

Live in Dublin』が出たばかりだったので、『Magic』がリリースされた時は結構早いタイミングだと思ったけれど、実際にオリジナル・アルバムとしては『Devil and Dust』から2年ぶりという、短いスパン。

『Magic』は久々のロックなSpringsteenという事で話題になっているようだけど、一部の『Born in the USA』以来という言い方には、個人的には首をかしげる。2作同時リリースだった『Human Touch』と『Lucky Town』の頃までは、Springsteenのアルバム・リリースとしては特に異質な受け止められ方ではなかったはず。それが『The Ghost of Tom Joad』辺りから音楽が変化して来たというのが、元々の受け止められ方じゃなかっただろうか?

それはいいとして、雑誌やネットを見てみると『Magic』はかなり評判が良い。個人的にはどうかと言えば、複雑な心境だったりする。別に『Magic』が気に入らないわけじゃない。確かに、イメージとして持っているSpringsteenらしい曲が連なるこのアルバムは、聴き続けてきた人にはキャッチーなもの。だけど折角『Live in Dublin』で聴かせた境地がこのアルバムからは感じられない。楽曲はどれもそれなりに聴きやすいものだけど、オレにはまだ「この一曲!!」と思えるような曲が見つけられない。それと、やはりE Street Bandの音は少々苦しいと言わざるを得ない。MMのクロス・レビューでも書いていた人がいたので書きにくいけれど、正直サックス・ソロとか、聴いてるのが辛い。オレが古いスタイルの演奏を否定しない事はこのブログを多少見てもらえればわかると思うけれど、E Street Bandのそれは、古いというよりも野暮ったいという感じというのが本音。Springsteenはあえてこの音をやりたかったのかもしれないけれど、比較するのはお門違いとわかっていて書いてみると、Caetano Velosoの『ce』を最近聴きなおして、その瑞々しさが時代とコミットした音であると感じたのに対し、『Magic』にはある種の痛々しさを感じる。

とは言いながら、『Magic』が嫌いかと言えばそうでもなかったりするんだよな・・・。









Bruce Springsteen 『Magic』