Jeff Beck

思うところあって、ロックの偉い人なJeff Beckの代表作を聴いてみる事にした。Beckの作品は、最近作の『Jeff』と『Beck-Ola』だけ持っている。『Jeff』を手にしたキッカケは某掲示板でのやりとりからで、David Tornが関わっている曲があった事ぐらいしか作品の記憶は無い・・・。『Beck-Ola』はガキの頃、兄が持っているレコードを勝手に聴いたりした時に気に入ったもの。久々に耳にしたくなり、数年前に手に入れた。Jeff Beckの代表作と言えば『Blow by Blow』とか『Wired』だろう。インスト音楽を好む傾向があるオレがそれを聴いていないのはなんとなくしまったという気分になり、『BBB』と『Wired』を聴く事にした、、、のは半分嘘。実は『Wired』は二十歳前後ぐらいに持っていたことがある。名盤の誉れ高いこの作品を興味津々で聴いた。けど、全然ダメだと思った。オレには殆どフュージョンにしか聴こえなかった。その頃のオレはフュージョンに対する抵抗感がかなり強く、『Wired』もその括りに入れてしまって、そのせいでBeckに今までなかなか興味を持てずにいた。という事で今回は再チャレンジ。『Wired』と『BBB』だけだと心もとない。『Beck-Ola』は気に入っているので、歌入りの方がオレにはあっているかも知れないと思い、『Beck Bogert Appice』も念の為手に入れ、それから始めてみることにした。

Vanilla Fudgeのリズム隊であったTim BogertとCarmine Appiceを従えたこのバンドには、元々正式なヴォーカル(Rod Stewart)を入れる予定だったらしい。それが諸事情によりヴォーカリスト抜きになったのだけど、結局BogertとAppiceが歌っている。それがなかなか悪くない。そして厄介な事に、あまりBeckのギターを聴く事に注意せずにこの作品を聴いてしまっている。ギタリストがメインのアルバムなのだから、本来はその演奏に耳が向くはずなのに曲の方に気分が持っていかれる。「Sweet Sweet Surrender」なんて完全にThe Bandというか、Dylanの「I Shall be Released」のThe Bandヴァージョンのパクリだし。あの「Superstition」も入っているし。

『BBA』がいい感じだったので、『BBB』も結構いけるんじゃないかと思い始め、いよいよその音を聴いた。『Wired』はフュージョンなイメージが残っているけれど、そのプロトタイプともいえるポジションの『BBB』は結構ロックなインストなんじゃないかという期待もあった。が、大間違い。『BBB』もオレの区別ではフュージョン。しかも、クロス・オーバーと呼ばれた頃の試行錯誤な色合いの強さがあり、さらにそれはミクスチャー感覚と言うよりも「とにかくやってみた」的な感触が残る。なんていうか、腰が据わっていない感じで、さらにどうしたって音が古臭い(特にエレピが・・・)。困ったと思った。『Wired』はイメージが悪いのに、それよりましだと予想していた『BBB』もイマイチ。この状態で『Wired』を聴く気にならない。だけど購入済だったので、『BBB』に続けて聴いてみる事にした。ダメならダメでいい。オレが生きていく上で、これぐらいの事に今更くじけていられない。とか、わざと大げさに考えて『Wired』を聴く弾みをつけた。ところが『Wired』、『BBB』よりは攻撃的な音で少し面喰った。なんかもっとフュージョンなイメージだったのに、もちろんそっちにくくりたくなる音ではあるけれど、オレの記憶の中の音ほどではない。これは『BBB』に続けて聴いたせいなのかもしれないけれど、それならば『BBB』と『Wired』を続けて聴けば、少なくても『Wired』はいい感じに聴けるし、『BBB』も繰返し聴いているうちに「Scatterbrain」には少し熱が上がるし、他の曲も耳に馴染んできた。