内橋和久 / Altered States

個人的には今年の山場、ピットインでAltered Statesの3daysが昨夜から始まった。しかも初日の昼の部は内橋和久のソロのライブもあり、この3日間で4公演を見に行くことになる。

内橋のソロ演奏を初めて見る事になったのだけど、その演奏はソロのCDで聴かれるようなエレクトロニクスを多用したものだった。エフェクトや(リアルタイム)サンプリングを多用し、アンビエントであったりアグレッシヴであったりする音を即興で作り上げていく。スイッチやつまみの類をグリグリ操作する時間がASやセッションの時よりも長く、ギタリストとしてのエゴみたいなものは感じられない。それに対する不満が全然無いとは言えないけれど、それは2ndの最後の演奏での、コード・カッティングでいくらか払拭された。

ソロでのライブというシチュエーションで改めて聴くと、内橋の音というのは透明度が高い。音が敷き詰められるような事もあり、音数が少ないわけでもないのに、そういう風に感じる。それはエレクトロニクスが多用されている事に関係するのかもしれないけれど、それを選ぶセンスがその人の個性になるわけで、そう考えると内橋の内なる音はあの音という事になるのだろうか。



そして夜の部のASの初日はリクエスト大会。いったい何処でリクエストを受け付けているのかと思ったら、当日ピットインで「何かリクエストがあれば紙に書いてハコに入れろ、コラ!!」という事だった。オレも何かリクエストしようかと思ったけれど、KinksとかClashとか、ちょっと的外れな事しか思い浮かばなかったので遠慮しておいた。

1stの最初の演奏が即興だった以外は、2ndも含めてほぼリクエストの曲を演奏。「Also Sprach Zarathustra」「ゴッドファーザーのテーマ」「Oleo」「Hey Jude」「Yellow Submarine」「Layla」「コーヒールンバ」「愛燦燦」「舟唄」等や、さらに客が本を朗読するのにあわせての即興や、ASの古い曲の演奏も行われた。選曲は内橋の主観で行われたので、内橋が知っている曲で演奏したい曲である事が選曲理由。芳垣安洋は演奏される楽曲の殆どを知っていたようだけど、ナスノミツルは知らないけれど演奏させられる曲がいくつかあった。それでも演奏されるものはAS流のアレンジが施されたとでも言えそうなものや、予想外な音のもの(「コーヒールンバ」での内橋のギターはトレスっぽい音だった)、「Layla」のようにとてもASとは思えない渋い演奏もあり、かなりバラエティーに富んだものだった。これらが前もって用意された内容ではないという事に今更驚いたりはしないのだけど、でもやっぱり凄いと思ってしまう。




実は昨夜はスペシャルゲストがあった。内橋が「ゲストのUAちゃんです」と言った時は何かの冗談だろうと思ったのだけど、本当にUAが登場。これはホントにサプライズ。そしてUAは「Sex Machine」を歌う。というか歌わされる。事前の打ち合わせでは違う曲をやる予定だったようだけど、それはどうも内橋が仕組んだ事だったらしい・・・。しかしUAは「Sex Machine」を即興で歌い上げる。ASも、うねるグルーヴを作り上げる。かなりカッコいい。更にもう一曲、「(曲名忘れました)」〜「日立の樹」というメドレー。しかしこの人、歌上手いな、と。オレの苦手なUAのフェイクな声も、こういう場においては嵌っている。ASのアグレッシヴな演奏にあわせられる力量ってのは、相当なものだと思う。

オレはUAのライブには行った事が無いのだけど(ホントはこの間のAXに行くつもりだった・・・)、何年か前のArto Lindsayのライブ、今年の1月の鈴木正人のライブ、そして昨夜と、ゲストで登場するのを偶然だけど3回も見た事になる。このままUAのライブには行かずに、またどこかでゲストで登場してくるのを見る事になれば面白い。