David Torn

オレはMM読者で、特に「じゃずじゃ」を楽しみにしているにもかかわらず、David Tornはあまり聴いていない。特に理由は無いのだけど、SPLaTTeRCeLL名義の『Oah』と『Ah (REMiKSiS)』をたまたま持っているぐらいで、Tornが参加しているものでも、Tim BernのアルバムやJeff Beckの『Jeff』ぐらい。ソロ名義の作品が店頭で見かけることが少なかったのが縁遠くなっていた理由だと思う。

そんななのでプロフィール的なものもよくわからず、MM8月号の「じゃずじゃ」でEveryman BandというグループでECMに吹き込んだものがそのキャリアの初期のものだと知ったのだけど、なんとなくTornとECMに元々関係があった事に以外な感じがする。そのTornの新作『Prezens』はECMからのリリースで、元の鞘に納まった状態。『Prezens』はリリースされてから三ヶ月ほど経過しているけど、購入したのは最近では無く、リリース直後に手に入れていた。インプレが今頃になったのは、結構繰り返し聴いていたにも関わらず、なんとなく掴めない状態が続いていたから。ならば今は『Prezens』を理解できたのか?と言えばそんな事はない。なんとなくもやっとしたまま。

この作品はTim BernのグループとTornがセッションしたものを素材として、Tornが編集して仕上げたらしい。『Oah』も編集というか打ち込みを多用したものだったので意外ではないけれど、ECMというレーベルからリリースされたものがそういうものという事は意外な感じがする。元のセッションからどれぐらい音を足したり引いたりしているのかわからないけれど、ボーっと聴いているとあまりそういう事を意識させない。これじゃイケナイと思い、少し意識をして聴くと、確かに音をいじった形跡を感じるものがある。その中でも特に、ループを使ったものはその手法の性質上ヒップホップ的なものを思わせ、ECMの作品であるにもかかわらず、iPodなんかに突っ込んで街を歩きながら聴いても「こういう状況で聴くものじゃないな」と思わせたりはしない。









David Torn 『Prezens』