The Doors

アルバムの1曲目というのがオレは好きで、その1曲目によってアルバムの印象は大きく左右される。だからそれが1stアルバムの1曲目ならば、そのバンド(或いは個人)の印象にもつながる。その、1stの1曲目のインパクトという点ですぐに頭に思い浮かぶのが、Led Zeppelinの「Communication Breakdown」とThe Doorsの「Break on Through」で、この2曲はオレにとって、カッコ悪い表現だけど「永遠の1曲目」というポジション。

あまり誰かに話した事もないし流れ的にここにも書いた事は無いけれど、Doorsというのは高校生なガキの頃のオレにとってはLou Reed(VU)やIggy Pop(Stooges)と同じぐらいの影響があった。だけどその後LouやIggyの様に自分の音楽の聴き方を左右した存在として名前を出していないのは、LouとIggyが現役で活動を続けていて、オレはその新しい音を聴き続けているからで、Doorsに関してはいくらか出てくる未発表ものを多少フォローしているだけで、当たり前だけど同時代性みたいなものをそこから聴き取るわけにもいかず、時々思い出しては少し耳にするという状況。だけどLAのバンドでありながらノー天気な音ではなく、ハッピーな場所と思われているところの反対側を表現しているDoorsの音は、当時沖縄という場所に住みながらあまりハッピーな性格ではいられなかったオレは勝手に共鳴するものがあった。

これまでにもDoorsの音は、手を変え品を変え何度もリリースされてきた。割と最近のリマスターの「Light My Fire」とか「The End」ではそれまでに聴けなかった音も入っている事を知っていたけれど、なんとなく手を出す気になれずにいた。だけど今年になってデビュー40周年記念という事でRhinoが手を貸しての新しいリマスターが施され、それの輸入盤が店頭に並んでるのを見て何度も手に取ったけれど、とりあえず国内盤が出るのを待ってから再度考え直す事に決めていた。が、オリジナル・アルバムの国内盤よりも先にベスト盤の『The Very Best of the Doors』がリリースという事で、これには堪えきれずに購入。昨日の昼過ぎ、雷鳴が轟く中聴いたDoorsの音は、確かにそれまでと印象の異なるものが多い。それについては賛否両論になるかもしれないけれど、個人的にはOK。

改めて聴いて、「Break on Through」の印象と違ってわりとミドル〜スローなテンポの楽曲が多い事に今更気付くし、Doorsを聴きだした頃はジャズなんて聴いてなかったのであまり考えることは無かったけれど、よく言われているようにジャジーな音が多い事も確認できる。そして当然の様にこのバンドの核はJim Morrisonという事は今も昔も変わらないけれど、実は意外にもギターのRobby Kriegerの音というのが、オレの耳にインプットされている事にも気付く。

とにかく、歌も演奏も曲も歌詞もパフォーマンスも、全部が否定し難い魅力に溢れたDoorsは、結局これからも聴き続ける事になる。オリジナル・アルバムに手を出したら、また思い入れだけの言葉を書き連ねる予定。









The Doors 『The Very Best of the Doors