Suicidal Tendencies

CDを買う枚数は減らすと思いながらも、欲しいものは欲しいわけで、タワレコにいってKip Hanrahanの『Beautiful Scars』を探すも発売延期になっていてガックリ。仕方ないのでそのままタワレコをウロウロ。5Fのフロアから出るときにタイミングよく万引き防止のセンサーが鳴り、店員に止められちょっとイラツキながらも身の潔白が証明されるのを待ち、謝罪の言葉もかけられずにそのまま下のフロアに向かう(これって結構頭にくる)。特に何も無いだろうと思いながら3Fの洋楽フロアもウロウロ。そうするとSuicidal Tendenciesがサマソニで来日というPOPを見つけ、「単独は?」と思って部屋に戻って調べたけれど、この手のフェスものは多分規約があって、フェスに参加したついでに単独でライブというものは許していないようで、残念ながらSuicidal Tendenciesを単独で見る事は叶わない。フジロックサマソニも行くつもりはこれっぽっちも無いオレにはこの結果は残念だけど、まあ、今でもSuicidal Tendenciesが活動している事がわかっただけでもいい。Suicidal Tendenciesは一度活動停止して、その後、再始動したけれど、正直言って以前のSuicidal Tendenciesの凄さをリリースされたもので味わう事は出来ない。それでもライブなら、あの頃の凄さの断片を味わえるんじゃないかと思うのだけど、、、。

NINのところでヘヴィメタが聴きたくなったと書いたように、一応オレはヘヴィメタも多少は聴いていた。だけどそんなに気に入っていたわけでもないし、大体ヘヴィメタ=ダサいという図式が成り立ってからは、その事はなるべく人前では言わないようにしていた。けれど、大して音楽に嵌った経験も無いくせに妙に小洒落たものを聴いて「オレってばイケテル?」な連中を前にすると、「ああ、オレはメタラーだから。やっぱSlayerとかMetallicaとかAnthraxとかカッコいいよな。」と言って、ヤツラが最も忌み嫌うものを大絶賛して、ついでにそいつらの上っ面を剥ぎ取って楽しむという、趣味の悪い事を度々している。でも、ヘヴィメタそんなに気に入っていたわけじゃ無いと書いた事が本音。だけど、スラッシュ・メタルだけは肯定的で、そのなかでもSuicidal Tendenciesはとにかく嵌った。

スラッシュ・メタルとヘヴィメタの違いは、オレはスピード感だと思っている。ウネウネグダグダしたヘヴィメタと違い、ハードコアのスピードを注入したスラッシュにはそういう事をやっている暇は無い。それは結果的にタイトな音を生み出し、刹那的だけど、だからこそロックを強く感じていた。

西海岸でスケーターに愛されたSuicidal Tendencies。オレはパンク的なものを感じていた。だけどパンクのバンドと違い、圧倒的な演奏力を持ち合わせ、速くない曲ではファンキーな感触もある。そのSTの(めんどくさいのでここで略す)ロック的な傑作は『The Art of Rebellion』だろう。これはスラッシュなバンドがあえてそのスピードを殺しても、ヘヴィメタにはならない別物を提示した。このアルバムはある意味突出していて、フォロワーどころかST自信もこの路線を踏襲する事は難しかった。が、個人的に最も気に入っているのはその後にでた『Still Cyco After All These Years』。これは1stである『Suicidal Tendencies』を再録音したもので、その圧倒的なスピード感と圧力にやられる。小賢しい弱々しいなよなよしたものを吹き飛ばし、「強くなければ生きていけない」とアルバム全体で表現していて、「もっと腕を太くして、オレもMike Muir見たいになってやる!!」とか、思わせてくれる。