佐野元春

あまり書いた事は無いけど、佐野元春はオレにとってかなり重要な存在だった。高校生の頃、Boowyとか尾崎豊とかEchoesとか、そういうものを聴いていた中で、音楽的なものを最も伝えてきたのが元春だった。彼の歌の「悲しきRadio」で「ジーン・ヴィンセント チャック・ベリー リトル・リチャード バディ・ホリー」と、ロックン・ロールオリジネイターの名前が連呼される一説によって50sのロックンロールを聴き、「Down Town Boy」の「マーヴィン・ゲイの悲しげなソウルにリズムあわせていけば」でソウル音楽に触れる事になった。そして日曜日の午後三時にやっていた『元春レディオ・ショー』で多くの音楽を知った。もし元春を知らなければ、今のような音楽の聴き方をしていなかった可能性もある。まあ、ある意味罪深い存在。アルバムとしては『The Circle』までは聴き続けていたけど、その後は特に興味もなくなり、現在に至っているのだけど、『Someday』や『Visitors』のデラックス・エディションみたいなものが出たときは思わず手にしたりしている。元春の新しい音にはあまり触れていないけれど、確かCCCD絡みかなんかで長年在籍したエピック・ソニーを離れた時には、その気骨に「さすがだな」と思ったりした。

長々と昔話を書いたのは、昨夜の『僕らの音楽』を見たせい。今回はUAの時の予告で元春が出ることを知っていたので、昨夜はたまたまじゃなく、ちゃんと見ようと思ってみたものだった。爆笑問題が元春の対談相手だったのだけど、それは殆どどうでも良かった。自分らが如何に元春のファンであるかという事をアッピールしていただけで、会話に聞くべき所はまるで無かった。

ということでやはり曲を演奏したシーンが重要なのだけど、サポートの面子のギターにThe Grooversの藤井が加わっていて、個人的にはこれが最大の見所。まあ、先週の予告で昨夜が元春の出番だと知っていて、そしてこの収録の時に藤井が参加した事は知っていたので、それがあったから見たいという気持ちになったというのが本音。藤井は流石のロックなギターをきめて見せ、思わずニヤニヤ。演奏されたのは何故か評価の高い「約束の橋」(個人的にはあまりいい曲だとは思わない)、デビュー曲の「アンジェリーナ」、そして新曲の「君が気高い孤独なら」。そのうちの新曲、「君が気高い孤独なら」の上手い具合にソウル音楽を取り込んだ楽曲を聴いて、久しぶりに元春の新しいアルバム『Coyote』を聴いてみたい気持ちになった。