Havard Wiik Trio

Atomicは現時点において、最も注目されるユニットの一つだと思う。このユニットは、JazzlandのアコースティックなラインからCDを発表しているので、オレはBugge〜Jazzlandという流れを注目するようになってからは当たり前のように聴いていた。ユニット名が個人の名前ではないという事もあり、各々のプレイヤーの名前に注目していなかったけれど、昨今のPaal Nilssen-LoveやIngebrigt Haker Flatenの活躍によって、今ではこの強烈なリズム隊がいるユニットという認識がオレにはある。従って残りの演奏者は今のところ頭にインプットされていない。フロントにはラッパとサックスが並んでいるのだけど、どちらの名前も覚えていないし、そしてピアノもその名前を知らなかった。なのでHavard Wiik Trioという名前を見てもピンと来ず、またノルウェーで注目されるピアニストが出てきたんだというぐらいにしか思わなかった。

そのHavard Wiik Trioの『The Arcades Project』はJazzlandからのリリースで、しかも日本先行。ぶっちゃけ、JazzlandのCDは日本盤よりも輸入盤のほうパッケージが凝っていて嬉しいのだけど、まあいいかと思い日本盤を購入。

完全にアコースティックなピアノ・トリオなこのユニット、なにも考えずに聴いていると藤井郷子の作品を聴いている様な気分になる。各々の演奏というより、その楽曲が郷子ねーさんっぽい。特に鋭角なテーマを持ったものにはその印象が強く、もちろんそうじゃないものもあるけれど、郷子ねーさんだって全編同じタイプのわけはないわけで。パワフルだしスピード感も申し分なし。そしてベースもかなり良く、ガシガシ弦を鳴らす感じはライブでのPer Zanussiを思い出させる。それで改めてWiikと他のメンバーをライナーなどでチェック。するとWiikはAtomicのピアノである事をここで初めて知った・・・。という事は、オレがAtomicの去年のアルバム『Happy New Ears!』で郷子ねーさんっぽいと思ったのはつながる事になる。そしてベースのOle Morten VaganとドラムのHakon Mjaset JohansenはMotifのメンバーであり、そしてWiikも暫定的にMotifのピアノも担当しているとか。Wiikはノルウェーの注目度の高い二つのバンドでピアノを弾いているという事はかなりの才人と言えるわけで、それを『The Arcades Project』は証明している。









Havard Wiik Trio 『The Arcades Project』




Havard Wiikは当然良いのだけど、ベースのOle Morten Vaganも個人的にはかなり気に入った。こういうガシガシ弦を掻きむしるような弾き方が出来るベースがオレは好き。だけどノルウェー、Ingebrigt Haker FlatenやPer Zanussi、そしてMats Eilertsenと、アコースティック・ベースにひときわ高い才能の持ち主が目立つ。これ、オレは体の大きさが影響していると思うのだけど、どうだろうか?