高柳昌行 と ニュー・ディレクションズ

「え?、そうなんだ?」と思わず思ってしまったのは、1969年に録音された『Independence』が高柳昌行にとって初のリーダー作という事が書いてあったからで、そういえばディスコグラフィー的な事はよくわかっていないという事に今更気がついた。

そんなことはどうでもいいか。フリー・ジャズという事が言われる高柳の音楽だけど、『Independence』はフリー・インプロ的な感触が強い。特に2曲目の「Sick...Sick...Sickness...My Aunt」から5曲目の「Deepnight......Swamp」までは、高柳のアコースティックな響きのギターや、豊住芳三郎の力任せではないドラミング、吉沢元治の弓弾きも用いたベース・ラインは、少なくても当時のフリー・ジャズのイメージとは異なる。アルバムでは長尺な「The Galactic System」や「Piania」にしても不穏な響きが終始していて、カオスには持ち込まない。そういった意味で考えればボートラの「集団投射」の咆哮は、アルバムの持つ統一感をぶち壊している。









高柳昌行 『Independence』