Bob Dylan

Dont Look Back』にはデラックス・エディションがある。これは映画として公開されてから40周年を記念したもので、『Dont Look Back』の基になったテープから新たな作品を作ったものが同梱されている。だけどそのDEは限定版で、先週末辺りに「そろそろネット上の一番安いとこに予約しておくか」と考え、ネット上でDEを探すと軒並み売り切れ状態。かなり焦って色々探したけど予約受け付けるところが見つからず、これは割引の無い店頭なんかで買わなければいけないのかと一瞬あきらめたけれど、DJ Krushの『吹毛常麿』の時に、amazonが一旦予約を打ち切りながら、後日予約が出来る状態になったのを思い出して、その後もamazonをチェックしていると23日に予約が出来る状態に。あわてて予約し、24日に発送になったと思ったら、その24日には届いていてちょっと驚いた(大家さん、いつも荷物の受け取りありがとうございます)。そのDEは余計な装丁が施されていて結構鬱陶しい。しかも、外箱は全世界共通のようで、日本向けに作り直していない為、日本版のブックレットは箱に収納できない・・・。かなり呆れた。

その新たな映像作品は『65 Revisited』というタイトルで、先にも書いたように『Dont Look Back』の残り物から作られているのだけど、これが本編よりもいい。演奏シーンが完奏に近いものが使われていて、その為にドキュメンタリーな部分の長回しが抑えられ、全体にテンポがあり、余計な事を考えさせる時間が少ない。その演奏シーンの歌詞の対訳を改めて見ながら、Dylanの歌詞について少し思ったことがある。ノーベル文学賞ものだと言われる、或いは難解だと言われるDylanの歌詞は、案外ストレートな部分もある。それはラブ・ソングである「It Ain't Me Babe」に顕著現れているし、こういう事を歌うからミーハー的な女性ファンみたいなのもいたのだろう。そしてトピカル・ソングの「The Lonesome Death of Hattie Carroll」(この曲で歌われている事実の部分は、かなり怒りを誘う)では、難解と思われる部分と事実を淡々と繋げている部分がある。これは、一番伝い得たい事実を装飾する為に難解と思われるような事も歌っているのだろう。現在において、歌に限らずいくらかの本などから小ざかしい言葉を読んでいれば、殊更Dylanの言葉に特に難解というイメージを持つことは無い。だけど、当時の他の歌手、Dylanに大きく影響を受けたと言われるJohn LennonがいたBeatlesの様なバンドだけではなく、Joen BaezやDonovanなどの歌詞を見ても、やはりDylanに比べれば稚拙な表現をしていて、Dylanという存在は、その後においてロックンロールをロックに変えた張本人なのかもしれない。









Bob Dylan 『Don't Look Back』