Johnny Cash

Neilの『Live at Massey Hall 1971』のDVDには、特典映像としてJohnny CashのTVショーに出演した時の映像も含まれている。という無理やりなつながりで、Cashの『At San Quentin』のレガシー・エディション。

以前に『At San Quentin』のコンプリートという物が出たらしいのだけど、それにはJohnny Cash以外の出演者の演奏が含まれておらず、今回は、Cash以外に当日一緒にライブを行った出演者の楽曲も含み、さらに『完全版』と名打たれていながらも、実際にはCashの歌でも省かれているものがあったと言う事で、今回はそれらの楽曲も収録。一応これで録音された素材は全てこの箱に入った事になる。一応と言ったのは、実際にはそのライブの録音自体が全ての演奏を収録できたわけではないという事実をライナーで知った為。

まあそういう事なので、Cash以外にThe Statler Brothers、The Carter Family(Cashの細君June Carter Cash含む)等の演奏が入っているのだけど、個人的にはCarl Perkinsが入っている事が嬉しい。わずか二曲だけど、トップ・バッターとしてあの「Blue Suede Shoes」を歌っている。それだけで嬉しくなる。それ以外の出演者についてはあまり知らないし、正直現時点では興味も無いのだけど、レビュー・ショーとでもいうのか、こういう形式で刑務所でライブを行っていたという事への驚き、そして、その空気を伝えるドキュメンタリーの興味深さは、単純に音楽として楽しめるものではない。

今回の箱は、CD二枚+DVD。DVDはライブの模様を撮影し、ドキュメンタリー番組としてイギリスで作られたもので、そういう性格のもののため、演奏シーンよりも服役囚や看守などへのインタビューが多く収録されていて、ライブのDVDを見たという気持ちにさせてくれないのだけど、ここでのそういったインタビューなどでの言葉によって、Cashがなぜ刑務所でのライブにこだわったか、そういう事を補足しているような印象もあり、これは音だけではなく、このDVDを見ることで色々と伝わってくる。音楽を聴くと言う意味ではCashの楽曲だけ収録されているものでも十分だと言えるのだけど、DVDを含めたこのレガシー・エディションは、音楽という枠とは少し違った視点で色々考えさせられる部分があり、マルチメディアなドキュメンタリーとして捕らえる方がいいのかもしれない。









Johnny Cash 『At San Quentin』




ブックレットにJohnny Cashが中指を立てている写真がある。これは有名な写真らしいのだけど、オレは初めて見た。これがカッコいい。それだけでも、この箱を手に入れた価値がある。というの言うのは少し言い過ぎか。