Jagatara (じゃがたら)

他人から見れば無理やりに思える事でも、自分にとってはちゃんと理屈になっている事がある。なぜだか覚えていないけれど、先週あたりから急に『ロビンソンの庭』という映画が見たくなり、ネットなんかを探してみたけれど、DVDはすでに絶版らしく手に入れにくい。この『ロビンソンの庭』という映画は80年代の邦画で、オレは10年前ぐらいにビデオで一度見ただけなのだけど、この映画の持っている独特のトーンが忘れられず、それを何かのきっかけで思い出し、久し振りに見たくなった。だけどこういう状況なので二回目を見ることが出来ていない。『ロビンソンの庭』については検索すればいくらでも情報が出るので興味のある人は検索してみて欲しい、オレに多大な影響を与えてくれた町蔵兄さんが出演していて、ビデオを見たのは、それが理由だったのだと思う。独特のトーンというのは、簡単に言えばフランス映画につながるもの、起伏を感じさせない映像が独特の質感になっていて、オレの記憶ではあまり接写の印象も無い。そして、ストーリーも抽象的なもので、ぶっちゃけ、何かのテーマを伴っていようがいまいが、どうでもいいような内容だったと思う。とにかく淡々と流れる映像は、アメリカ映画をを好む輩には最も嫌われそうなもので、実際、これを一緒に見ていた知り合いは途中で寝ていた。

とにかくどうにかして久々に見たいと思いながらもそうできない状況の慰めに、久し振りにJagataraの『ロビンソンの庭』を引っ張り出す。これは映画『ロビンソンの庭』の為に書き下ろされたJagataraの楽曲を収録したもので、Jagataraがメジャーデビュー後、インディー時代のアルバムがCD化された際にはシカトぶっこいたものなのだけど、それがたたって聴きたい時にはこれもすでに廃盤。なかなか手に入れられない状況の中、99年頃に突如Jagataraの再評価が高まり、再びCD化された時に即購入。

思い入れの強すぎる『それから』や『そらそれ』を除くと、オレにとってJagataraの他のアルバムは殆ど同価値。だけど『ロビンソンの庭』はとりあえず手に入れたことで満足して、一度耳を通しただけになっていた。久々に聴いて、なんとなく新作を聴いている気分になる。世間の評判はさほどいいアルバムでは無いけれど、アフリカン・ポピュラー音楽をうまく消化したこの感覚は、Jagataraならではの編曲と、江戸アケミの言葉が印象的で、江戸の不在が今の日本の音楽シーンというヤツに大きくのしかかる。









Jaagtara 『ロビンソンの庭』




冒頭の無理やりと言う話、実はアメリカのバージニア工科大学での銃乱射事件につながるという事だったりする。それは、『ロビンソンの庭』の淡々とした流れにフランス映画を思い出し、それにハリウッドではGus Van Santがいくらかの影響が伺えるからで、あの『Last Days』は勿論、『Elephant』までも最近頭にあったからだ。『Elephant』は、あのコロンバイン高校での惨劇を淡々と描いたフィルムで、その異様な空気は、不謹慎ながらもアーティスティックな興味をひく。それを久しぶりに思い出していたところで今回の惨劇。これは勿論偶然だけど、そのせいでやけに色んな事を考えさせる。