大友良英

Ashodelからリリースされた大友良英の新作『The Multiple Otomo Project』は、DVD+CDという形態。メインはDVD(『Multiple Otomo』というタイトル)だろうという事で、まずはDVDからチェック。内容は大友のターン・テーブルを使った演奏をメインにしたもので(ギターやその他もある)、大友本人は殆ど手しか映っていない(ちゃんと上半身が写っている映像もあります)。何かしらのライブ映像ということではなく、このDVDの為にスタジオに入ってそれを撮影したもので、だけど余計なエフェクトやカット割りが多く(オーサリングもイマイチだと思う)、見ていて疲れるものに仕上がっている。これは購入する側の視点から作られていない。ショップなんかでデモで流れている映像としてみるにはいいだろうけれど、自宅でTVに向かって見ているのはキツイ。これに比べればJeff Millsの『Exhibitionist』は、いろんな意味で親切な作品だと思う。まあ、『Exhibitionist』も繰返し見るような代物じゃないけれど。

と言いながらも、内容としては『大友良英解体新書』とでもいいたくなるようなモノで、大友の色んな技法を見る事が出来るのは面白い。

CD(『Monochrome Otomo』というタイトル)の方は恐らくDVDに収録したものの音を吸い出したものなのだと思うけれど(違うかもしれないけれど)、これも何となく『大友良英素材集』といった感じで、一個の作品としては他のものと比べにくいけど、なかなか興味深い仕上がり。

このセット、アヴァンギャルド大友良英を味わうにはかなりお薦めな内容。だからこそ、DVDの編集が惜しい。









大友良英 『The Multiple Otomo Project』