Neil Young

どうでもいい前置きはかなりウザかろうと思うので、追記に移動した。で、『Living with War (In the Beginning)』。これは『Living with War』の最初期バージョン。『LWW』には100人のコーラス隊が入っている楽曲が多いのだけど、昨年末に発売された『In the Beginning』ではそのコーラス隊が省かれた音源で構成されている。それによって、音としての厚みは減ったけれど、ロックとしての強みは増したと思う。そして『LWW』では最後に収められていた(ほぼコーラス隊だけで歌われた曲の為)「America the Beautiful」が省かれていて、この楽曲にある種の都合のよさを感じてしまった事を思えば、これが省かれた事によって、このアルバムは国際的に流通させる意味を増すと思う。と言うか元々、『LWW』はアメリカ国内向け、『In the Beginning』を海外向けとしてリリースするべきだったと思う。いずれにせよ、これによって『LWW』に感じていたオレの違和感は省かれる事になった。









Neil Young 『Living with War (In the Beginning)』




去年「対訳読んでから追記」と言いながら、そのままにしていた『LWW』。一応その後対訳は読んでいたけれど、この手のものは複雑な気持ちになる事もあり、その感想は避けてしまった。戦争というテーマの重さ、それを当事者ではない立場で批評してしまう事の厚顔さを思うと、なかなか言いたいこともいえない。とはいっても、本当に日本は関係ないのかといえばそうでもないとも言えるわけで、イラクという国は同じアジアという括りもある。そう思えば、あの中で歌われている事がたとえアメリカの事だけでしかないとしても、少しだけ思うことを書いておいてもいいのかもしれない。

が、別に大げさな事を言うつもりはなくて、最終的に戦争という事を選んでしまうアメリカという国がバランスを保つ為に抱えているギリギリの良心みたいなものが、ああいう音楽を生み出すのだと思う。最終的には人を殺すという結果しか生み出さない戦争という事を続けるには、宗教を内側に抱えている彼らの中では矛盾が生じるはずで、それは音楽に限らず、幾多の戦争映画などでもその苦しい胸のうちを表現している。だからNeil Youngの作った音楽は、彼自身の内面だけではなく、状況が生み出した音楽なんじゃないかと思う。



『LWW』の音楽自体は『Greendale』に近いものを感じる。ミドルテンポの、ゆったりしたペースだけど、何故かもの悲しさを感じる楽曲。そして『LWW』は、あのコーラスによって『Greendale』の「Be the Rain」をアルバム全体で拡大解釈したと思える感触があって、実は結構『Greendale』が好きなオレとしては、『LLW』も気に入ってしまっている事を再確認した。



話を『In the Beginning』に戻すと、このバージョンはDVDも付いた二枚組になっていて、そのDVDでは各曲毎にスタジオでの録音風景を見せて、CNNを意識したニュース風のビデオを組み合わせている。国内盤の予定が無い様なので輸入盤を買ったのだけど、こっちこそ国内盤を出すべきだったはず。コーラス入りの『LWW』はDVDで聴けるので、これから『LWW』を聴いてみようと思うのなら、『In the Beginning』の方がお得感有り。