Fishbone

ライブを見ていると思わず笑う事がある。この間のUnbeltipo Trioでも笑ってきたのだけど、別にMC部分の話の事ではない。それはAltered StatesとかUnbeltipo Trioとか藤井郷子カルテットなんかのライブに多い事で、音がとんでもない状態になってくると、見ているこっちとしてはあっけに取られつつ笑うしかない。「何だこれ? おかしいよこの人達・・・」と、なる。笑えるぐらいの状態まで音を聴かせてくれるかどうかというのもライブの醍醐味の一つなのだけど(音楽性にもよるけれど)、そういう状態はCDではあまり体験できない。だけどつい最近CDでも笑えるものがあった。それがFishboneの新作『Still Stuck in Your Throat』で、これは昨年発売されていたものだけど、インフォメーションもショップでのディスプレイも無かったので、最近まで全然気付かずにいた。

Fishboneは『Truth and Soul』で頭角を現し、『The Reality of My Surroundings』でミクスチャー・ロックの雄の一つとして、いまや最も人気のあるバンドに成り上がった(成り下がった?)Red Hot Chili Peppersや、このブログのタイトルに流用したLiving Colourといったバンドと同格で扱われていた。ところが『Give a Monkey a Brain and He'll Swear He's the Center of the Universe』で音がヘヴィーな方向に動き、『Chim Chim's Badass Revenge』ではメジャー落ち、どんな音だったかも覚えていない『The Psychotic Friends Nuttwerx』と、イマイチパッとせず。その後は存続しているのかどうかもよくわからない状態だったけれど、昨年『Live in Amsterdam』を手に入れて、今でも活動している事を知った。そして久し振りに出てきたスタジオ録音の新作が『Still Stuck in Your Throat』。スタジオ録音での最近作の『The Psychotic Friends Nuttwerx』がイマイチだった事を思えば、大きな期待は出来ない。が、今回はやってくれた。これはあの勢いに乗っていた頃のFishboneの音だ。しかも笑えるぐらいに(冒頭の笑いの話はここにつながる・・・)、あの頃の音。このベース、ギター、ホーン、そして妙に可愛らしかったりする楽曲等々正しくFishbone印のオンパレード。このバンドを知っている人には『Truth and Soul』辺りまでのFishboneの音といえばわかるはず。実はヘヴィーにやっているのに、ポジティブに聴こえてしまう。元々スカを下敷きにしたと思える音楽性なので、スカコアだかスカ・パンクだか知らないけれど、そういう音を聴いている今の若い子達がこれを聴けば、音が跳ねるという事の意味がわかると思うんだけ、まあ、どこかがプッシュしなければこれを聴く事は無いのだろう。でも、いまだに同じ音ばかり聴いている輩の多い大人は、もっと期待できないが・・・。



えー、詳しく書けない愚痴は置いといて、とにかくこのアルバムはハッピーな音。これ聴いて楽しくないのなら、もったいないとオレは思う。まあ、簡単に言えば傑作。難しく言おうとしてもボキャブラリーが足りないので、結局傑作としか言えないけれど。









Fishbone 『Still Stuck in Your Throat』