Beck

Squarepusherだけじゃなく、Beckの新作『The Information』も購入に至るまで考え込んだ。輸入盤は先月から出ていたけれど、10月になれば国内盤も出るし、それまでちょっと待つ事にした。そしてやっと出てきた国内盤は、ボーナス・トラックが付くとはいえ、輸入盤が¥2,289円(レコファン価格)なのに対して¥3,885円。高すぎる・・・。と、悩んでいたけれど、レコファンはDVD付なので国内盤10パーセント引きの価格設定だったため、思い切って国内盤を購入した。

前作『Guero』は、個人的には嵌らないアルバムだった。「考えすぎ?」と思うような感じで、Beckとは思えない風通しの悪さが息苦しさを感じた。まあ、Beckの事だから、新作は前作とは違うパターンを使ってくるに違いないと思ったのだけど、それはオレの予想通りになった。

『The Information』は、考え込んだ挙句にシンプルになったんじゃないかと思う。このアルバムを聴いていると、この人の持ち味は、ヒップホップにおけるループでのトラック制作を消化した上でのソングライティングなんじゃないだろうかと思う。新作ではそのパターンを多用したと思えるトラックが多く、重層的に音を積み上げるよりも、シンプルなループに軽く上物を載せたような感触があって、それが聴きやすさにつながっている。そしてアルバムの収録曲は今までのどのアルバムよりも個人的に気に入ったものが多く、だからこのアルバムはBeckの最高傑作だと思う。









Beck 『The Information』




ちなみに今までのBeckで好きなアルバムは『Mellow Gold』と『Sea Change』だった。と言っても、『Mellow Gold』は「Loser」の印象が強すぎで、殆どこの1曲を聴く為だけぐらいしか聴いていない(その「Loser」は1曲目なので、2曲目以降は殆ど聴いていないかも)。『Sea Change』は、他のアルバムより収録曲が気に入ったものが多い。だけど、全体的なゆるさという点において、『The Information』の方が気に入っている。



しつこいけれど、Beckはブルースの感覚をヒップホップ的に構築して、それにカントリー的なフレイバーを散りばめた音を作っているとオレは勝手に解釈している。それはやはり個性的だと言えると思うので、そうならばそのトラックの個性に耳が向きそうだけど、Beckソング・ライティングという点においても秀でたものを感じるので、だから、曲の出来という事も重要なポイント。個性的なトラックを作り、また、それを省いても曲の魅力で引きつけることが出来るというのは、他にもいそうであんまり思い浮かばない。

ふとそういう事を考えて、今更思ったのだけど、Beckは天才的なのかもしれない。



忘れてました。『The Information』はアルバム全曲のPV(?)を収録したDVDとの2枚組み。いつもの様にDVDは未見。