Velvet Underground

1993年の再結成時のライブビデオ『Velvet Redux Live MCMXCIII』がDVD化された。あまり映像作品に興味の無いオレは当時このビデオを手にしていなくて、「買わないと」と思ったときには、既に市場から姿を消していた。無いとなると欲しくなるという、よくあるパターンに陥ったけれど、いつかそのうち再発されるだろうと思っていたら、やっとの事でのDVDとして再発された。

何度か書いていると思うけれど、オレにとってLou Reedは、一番好きな、そして一番影響を与えてくれたミュージシャン(の一人)。Dylanの新譜というものが出たとしても、そんなに期待しないかもしれないけれど、Lou Reedの新作は彼が音楽をやり続ける限り、常に最大の興味であり続ける。そしてLou Reedのキャリアの最初期にあたるVUは、ロックにおいて、一番最初に「伝説的」という言葉が似合うバンドだと思う。VUが再結成したのは、あのバンドに相応しくない(或いは相応しいのかもしれない)形での活動停止に決着をつけるための再結成だったのかもしれないけれど、結局は中途半端な形で終わってしまったと言うしかない。

『Velvet Redux Live MCMXCIII』では、ヨーロッパ・ツアーだけで終わった、一時的でしかなかったJohn CaleLou Reedの時間を見ることが出来る。伝説の再現を垣間見る事が出来るのだけど、感情移入できずに淡々と見てしまった。それが何故なのかは分からないけれど、今この映像を見るというのは、結末を知っている状態で映画を見るようなものなのかもしれない。




『Velvet Redux Live MCMXCIII』のビデオは持っていなかったけれど、『Curious』(未DVD化)という、このツアーを追ったドキュメンタリーがあって、何故かそっちはビデオを持っている。撮影された時点ではこのツアーだけで終わりという事にはなっていなかったと思うのだけど、このビデオを見ていると、「久しぶりに集まって同じ方向を向いて音楽している」という高揚感みたいなものは感じられなくて、だからそこで終わってしまった理由が、このドキュメンタリーから感じることが出来る。