Daniel Lanois

Dylanの『Time Out of Mind』の一番の聴き所は、Daniel Lanoisの作った音だと思う。Lanoisの独特の音作りは、オレのボキャブラリーでは表現が難しいのだけど、エコー処理によってフィルターのかかったような音でありながら、独特の生々しい感じがある。この音がうまく生かされていたのが一連のU2の作品で、ここでオレはEnoとLanoisという名前を知った。Enoについてはちょっと調べればミュージシャン(非ミュージシャン)としての彼の事を知ることが出来たけど、Lanoisは、あくまでエンジニアとしての名前しか知ることが出来無かった為、その当時はあまり着目していなかった。ところが、Dylanの『Oh Mercy!』で再びLanoisの名前を聴くことになり、それまであまり重要性のわからなかったエンジニアという存在が、音楽作品を作るという事において大きなキーであった事を知った。

そのLanoisは自らの名義でのアルバムを何枚か発表しているけれど、どのアルバムも完成度の高い音世界を構築していて、ミュージシャンとしても突出した存在である事を確認出来る。




ホントにどのアルバムも良いので、どれがお薦めと言う事は出来ない。個人的には最新のものを聴くようにしているので、今は『Belladonna』を聴く事が多いけど、前作の『Shine』も繰り返し聴いた。さかのぼれば、1stソロの『Acadie』もよく聴いていたし、今これを書きながら聴いている『For the Beauty of Wynona』もジャケットのインパクトも手伝って印象深い。

オレ自身は割と若い頃からLanoisの音を聴いていたにもかかわらず、こうやって彼の音を聴いていると「ガキにはわからないだろ」と、言いたくなる。