Atomic

昨年見たピットインでのライブはなかなか良かった。よく考えると、昨年見たライブで、一番従来のジャズのフォーマットに近い演奏を見たのは、Atomicのライブだった。そのAtomicは、実は先週ピットインでライブをやったはずなのだけど、今回は単独ではなく、Alamaailman Vasaratと、どっかの花屋みたいな名前の日本人ミュージシャンとのカップリングになっていて、そういうものに付合う気持ちになれないオレは結局ライブには行かなかった。日本におけるマネージメントをしている会社の余計な思惑がそうさせたのだろうけど、昨年のライブの盛り上がりを知っている者は、Atomicが単独で客を呼べるバンドである事を知っているので、今後はそういう余計な事はやめて欲しいと思う。

今回の来日にあわせて新作を日本先行で発表していて、その新作『Happy New Ears!』を購入して聴いてみた。Atomicというバンドは、オーソドックスでありながらも現代的に聴こえるという印象がある。CDショップでAtomicのCDコーナーのポップなどを見ると、「フリージャズ」という言葉が使われているけど、あまりフリージャズという事を意識して聴く必要は無いと思う。曲がしっかりしているし、所謂フリージャズのイメージにあるドロドロした音は少ない。肝心の新作『Happy New Ears!』は、1曲目の「Roma」を聴いて「ん?」と思い、4曲目の「Two Boxes Left」、そして7曲目の「ABC 101 B」を聴いて「これは・・・」と思った。何を思ったかと言うと、「藤井郷子カルテットに似ている」という事。勿論オレの勝手な印象なのだけど、特に「ABC 101 B」は、曲そのものが藤井郷子的じゃ無いかと思った。これはもしかしてAtomicが藤井郷子の影響を受けたのか、それともたまたま同じベクトルを向いているのかわからないけど、そういう事を考えながら聴くのも楽しい。