Neil Young

しつこい感じになってきたけど、このタイミングで思った事を書いておきたい。『Prairie Wind』を聴いて以来その類のNeil Youngの音に嵌りつつあって、『Harvest』と『Harvest Moon』は勿論、初期の『After the Gold Rush』やCSN&Yでの『Deja Vu』、90年代に入ってからの『Unplugged』や『Silver & Gold』といった、今まであまり聴いてなかった音を聴いている。多分、今の空気感がこういう音を欲しているのだと思う。折角のそういう季節なら、こういう音に嵌りこんでしまうのもいいと思った。



ついでなので、オレの好きな映画の『Year of the Horse』についても少し。これはJim Jarmuschが撮った作品で、音楽の映像作品にあまり興味の無いオレがその類のもので一番好きな作品。ここに映し出されるCrazy Horseの姿は、ただのミュージック・フィルムでは映し出せないものがあって、これを見るだけでCrazy Horseがどういうバンドか、わかる事が出来る。映像はJim Jarmuschがカメラ(8ミリ?)を持って、ツアーに同行しながら撮ったものに、過去の映像を挿入させる形で編集されている。好きなシーンはいくつもあるけど、まずオープニングの各自の自己紹介で、Neilが自身を「Crazy Horseのギタリスト」と言ったところで、ニヤッとさせられる。そして語られるCrazy Horseの紆余曲折と、現在(撮影時)の心境。色々語られてきたこのバンドの真実を、当人達の口から語られるシーンは感慨深いものがある。ツアーバスの中で、Jim Jarmuschが聖書(の解説本?)を読んで、それにNeil Youngが茶々を入れるところも興味深いし、PonchoがJim Jarmuschをおちょくるシーンがいい。勿論映像の大半はバンドの演奏に当てられていて、ただのドキュメンタリー作品ではフェイドアウトさせてしまう演奏シーンも、きっちり納められている。

オレが好きなシーンは、Neil YoungとFrank "Poncho" SampedroとBilly Talbotがステージの中央(勿論ドラムの前)に集まって、3人でお互いを近くに感じながら楽器を鳴らすところ。感情入りまくりの「Tonight's the Night」もいいけど、「Like a Hurricane」の、現在〜過去〜現在の映像と音を混ぜた演奏も面白い。

「Like a Hurricane」という曲は、ロックにラブソングをあまり求めないオレにとっては、苦しく感じるぐらいのコテコテのラブソング。しかもこの曲、多分若い頃だから書けたであろう、ストレートな言葉が目に付く。



もう一つ、Neil Youngで付け加えて置かなければいけないことは、あの「9.11」の時の事。あの時、多分アメリカだけじゃなくて、オレ達日本人や世界中が目を疑ったあの時、アメリカで放送されたあの事件のチャリティー番組で、他の出演者が「アメリカよ、一つになろう」的な気分に溢れていたあの時に、Neil Youngは「Imagine」を歌った。ラジオでは放送自粛の憂き目にあっていた「Imagine」を歌った。

これはオレにとって、Sinead O'Connorの時に感じたあの気分の落とし前を付けてくれた出来事だった。



それにしても『Prairie Wind』、聴けば聴くほど染みてくる。日本盤のDVDに字幕が無いと書いたけど、スタジオでの録音時の映像なので、字幕が無くても別に問題は無い。そしてこの作品、Neil YoungのオフィシャルHPで全曲フルで試聴できる。

興味のある方は、http://www.neilyoung.com/prairiewind.htmlに行ってください。