Extended Meetings II

ログは書いておくと記憶をあれこれ探らなくても容易くなる。5年前の5/5、レディー・ジェーンでMarco Cappelliの演奏を聴いている。小川紀美代とのデュオだった。まあ、頭にはあったけど、何年前の何月何日かなんて覚えてるわけ無い。まあ、それを思い出したからなんだ?ってのも、あるけど・・・。
今回日本での演奏は今夜だけ、で、なのでという事なのか、1stは小川さんとのデュオで、2ndは鬼怒無月と秋山徹次とのトリプル・ギター、という、まあああこれは涎が・・・な、組合わせ。
まずは小川さんの独奏。から、Cappelliと小川さんのデュオにつながる。1stは作曲されたものの演奏。前半が小川さんの曲で、後半がCappelliの曲。小川さんの曲はアルゼンチンなサンバという位置づけらしいのだけど、バンドネオンが叙情性たっぷりで弾くのだから、ボーっとなる。この人もホント綺麗な人で、なんていうか、若作りしないでちゃんと年齢を重ねた、凛とした佇まい。なので音にも自然と色気がある。Cappelliは改造ギターなんて代名詞が付いているのだけど、前回見たときもそうだったのだけど、あまりアヴァンを意識させない、とにかく上手い演奏。イタリア人らしいので、ラテンな曲へのアプローチも全く問題ないんだろうなあ。とか思っていると、後半、まずはCappelliの独奏で、これがスゲー!!!ってな演奏。なんだあの両手タッピングみたいなの? これはかなりヤバい。かなり参った。この後Cappelliの曲がデュオで演奏されるのだけど、どうも譜面的にはかなり難しいらしい。けど、聴いているほうにはそう感じさせず、なだらかに変化している。んー、これって、かなりなんじゃないだろうか?
2ndは即興。秋山はエレキだけど、鬼怒とCappelliはアコギ。あー、そうだ。改造ギターっていうとエレキの方でなんかって思わせるのだけど、Cappelliのは違う。Cappelliのギターは一見普通に見えるのだけど、普通の6弦以外にボディーを斜めに弦が張ってあって、これがハープ的な音色を持っている。
何度か耳にしている秋山のギターは、フィードバックなドローンのイメージが強い。音は強いのに、静的な印象でもあるのだけど、今夜は結構アヴァンな音。あー、こういう感じもかますのか、と、ちょっと驚いたのだけど、でもやっぱ感覚が独特で、意外にもノイジーに振り切る感じ、じゃない。と、秋山がエレキなので他の2人の音は消される?とか思いがちだけど、バランスが絶妙だったようで、Cappelliの音も鬼怒の音もキッチリ聴こえる。鬼怒もそこそこその演奏を聴いているけれど、即興は久々に聴く。バカテクなギタリストなわけだけど、今夜のフリーな演奏は結構珍しい気がする。不穏なコードワークとか、あまり鬼怒のギターから聴いた覚えが無くて、ここもまた面白い。Cappelliはもう1つギターを持って来ていて、なんか見た目サイレント・ギターみたいなののボディー部にバネみたいなのが何本もつながっている。1stは使わなかったそれ、2ndでドラムのバチで叩かれるという扱い。え?、これギターとしては扱わないのか?と思っていたら、その後ギターとして演奏。しかし、バチで叩かれる事を前提とされたギターってのも面白すぎるな。
多分、2ndは2つの演奏、と、アンコール気味に3つ目の演奏だったと思う。なんていうか、個性の違う3つのギターがそれぞれ同時に別々に聴こえてくるという、なんか意味がわからんぐらいに独特な演奏だった。正に「こんなの聴いた事がない」演奏だった。
客席もかなり満足したのだけど、なんとなくアンコール要求の拍手を続けてしまって、Cappelliの独奏で締めてもらった。